新社長が語った「粛々」の真意

 ホンダの国内営業は過去数十年、ほとんどクルマの商品力に頼った売り方を続けてきたが、シビックという難しい商品を上手く花開かせることができれば、その国内営業のレベルアップは確実に図れる。

 逆に新型シビックを成功させられなければ、今度こそシビックは終売。ホンダの国内販売戦線の防衛ラインは軽プラスアルファまで後退することにもなってしまうだろう。ユーザーにとっても新しいシビックは、魂の入ったホンダ製の高性能コンパクモデルを手に入れるラストチャンスになる可能性もある。

今年4月に就任したホンダの三部敏宏新社長(時事通信フォト)

今年4月に就任したホンダの三部敏宏新社長(時事通信フォト)

 三部社長はつい最近、ホンダの幹部級100人以上を集め、その場で「従来のビジネスは粛々とやればいい。そのぶんリソースは新ビジネス(電気自動車やコネクティビティなど)に割く」と語っていたという。2040年に電動化率100%という方針を補強するための訓示と考えられる。

 三部社長は別にコンベンショナルなエンジン車やハイブリッドカーをやめろとは言っていない。電動化のトレンドをキャッチアップさせるための激励のつもりだろう。

 だが、“粛々とやる”という言葉は通常、フェードアウトする、もしくはこれ以上の進歩は追わないというニュアンスで受け取られかねないもの。こういう発言はホンダに限らず、自動車メーカーのクルマ作りを大きく変えることがままあるということを考えると、今後の行く末が気になるところだ。

 そんなホンダのターニングポイントで登場する新型11世代シビック。今秋発売される実機にはシビックフリークならずとも興味津々であろう。

新型は11世代目となり、ホンダ車の中で最も歴史が長い「シビック」(写真/ホンダ)

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