大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

日本経済の起爆剤となる「メガリージョン」 新潟を世界的リゾートにする方法

新潟に「メガリージョン」を創るにはどうすればよいか(イラスト/井川泰年)

新潟に「メガリージョン」を創るにはどうすればよいか(イラスト/井川泰年)

 日本経済が長引く低迷から脱却するために何が必要なのか。経営コンサルタントの大前研一氏は、30年以上前から日本に「道州制」の導入を提案してきたが、今はそれよりも小さい「メガリージョン」の時代だと考える。日本に「メガリージョン」を創るにはどうすればよいか、大前氏が考察する。

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 IMF(国際通貨基金)の統計によると、日本のGDP(国内総生産)は1995年から25年間にわたって横ばい状態だ。一方、この間にアメリカのGDPは2.7倍、中国のGDPは20倍になっている。

 新型コロナウイルスのワクチン接種率も、日本はまだ17.74%(6月20日時点)と相変わらず主要国最低レベルで、ウィズ/アフターコロナ時代への対応が決定的に遅れ、日本経済が長引く低迷から脱する兆しは全くない。

 このため私は、しばしば経営者やメディアなどから「どうすれば日本経済は再び成長できるのか?」と質問される。だが、その問いに解はない。本連載で何度も指摘してきたように、もはや田中角栄的な「国土の均衡ある発展」は不可能だからである。言い換えれば「国家」という単位で繁栄する時代は終わったのだ。

 もともと私は30年以上前から、日本が繁栄するための方策として統治機構を中央集権から地方主権にする「道州制」の導入を提案してきたが、21世紀は道州よりも小さい「メガリージョン(大都市とその周辺都市で構成される新しい経済活動単位)」の時代になっている。その代表格は、アメリカのシリコンバレーや中国の深センだ。

 メガリージョンが一つでも日本に誕生すれば繁栄の起爆剤になるはずであり、たとえば東京の築地・晴海・勝どきエリアや横浜の大黒埠頭・山下埠頭・瑞穂埠頭エリアが有力な候補地になり得ると思う。これらがつながって幕張まで延びれば「東京ベイエリア起業センター」になるだろう。

新潟で最もポテンシャルが高いのは越後湯沢

 だが、日本は縦割り行政がはびこり、市町村も分割しているので、16の市町村が一体化して開発コリダー(回廊)になったシリコンバレーのような柔軟性がない。規制も多く、革新的な人材も企業も極めて少ないため、今のところ21世紀型のメガリージョンが生まれる可能性はほとんどない。

 とはいえ、それでは夢も希望もないので、私は最近、ビジネス・ブレークスルー(BBT)チャンネルの番組で「もし自分が新潟県知事だったらどうやって発展させるか?」というRTOCS(※リアルタイム・オンライン・ケース・スタディ。現実の誰かに成り代わって、その人の立場で発想する手法)をやってみた。

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