道尾さんはバーのカウンターで飲むのが好きで、プライベートで親しく付き合っているのは、行きつけの飲み屋で知り合った人が多いそう。
「友だちには20代も、70代もいます。ずっと飲み仲間だったやつの職業を初めて聞いたら家具職人だというんで、家具職人の面白い話をいろいろ聞いて、じゃあ家具職人を主人公にしようと書いたのが『笑うハーレキン』という小説だったりします。
取材だと、あちらもそんなに面白い話をしてくれない。だからこうやってたくさんの人と友だちになって、面白い話を自然に教えてもらってるんです。何より楽しいし。
コロナ禍でなかなか飲みに行けなくなったのはだから、つらい……。書く時間は前より増えたから、仕事は進むけど、つまらないですね」
【プロフィール】
道尾秀介(みちお・しゅうすけ)/1975年東京都出身。2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。2007年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、2009年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、2010年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞、2011年『月と蟹』で直木賞を受賞。近著に『いけない』『カエルの小指』など。
取材・構成/佐久間文子
※女性セブン2021年7月15日号