コロナ収束を見越した開業ラッシュではない
そんな簡易宿所のクローズ光景はそのままに、いま京都ではラグジュアリーから宿泊を主体としたタイプまで新たな一般ホテルが続々と誕生している。
しかし、なぜコロナ禍の今なのか──。ワクチン接種が広がっていく中で、コロナ禍の収束を見越してという見方もできるが、それは少々早計である。
ホテルプロジェクトはスタートから開業まで3年くらいは要することを考えると、コロナ以前から続いていた開業計画が中断、再開を繰り返しながらここにきてリスタート。そして竣工、開業ラッシュを迎えていると捉えるのが自然だろう。
インバウンド活況に呼応していた頃の京都は、至る所に“京の雅”要素をちりばめてみましたというような新規開業のホテルが多かった。コテコテの付け焼き刃的な京フィーチャーが特色だったのだが、コロナ前の供給過多を境にだいぶ変化が見られるようになった。
観光で京都を満喫し、さらに宿でもたっぷり京都風情を味わってもらうというのは、確かに「お腹いっぱい」だろう。それよりはシンプルなステイ、一風変わったホテル時間が求められてきたのである。