ゲスト目線で泊まりたい京都の新規開業ホテル3選
ほかにも各種メディアで話題となっているホテルはあるが、ゲスト目線のホテル評論家として、京都でハートを掴まれた新規開業ホテルを3軒紹介したい。
【ホテル祇園一琳】
祇園の隠れ家という表現が相応しいホテル。スモールプレミアホテルとでも表せようか、決して豪華ではなく、細部に至るまでゲスト目線が貫かれているのが印象的だ。アメニティひとつからエアコンの吹き出し口ポジションにいたるまで気遣う。
まず、文化や伝統といったコンセプトを決め、部屋や設えに落とし込むというのは一般的なのだろうが、部屋にゲストがステイしたとする目線からホテルを創り上げていくという発想は、ゲスト目線のホテル評論家として筆者が最も評価するポイントだ。さらなる快適性を追求するため現在改修工事中となっているが、新たに進化したホテルが楽しみだ。
【レフ京都八条口 byベッセルホテルズ】
アートやバーをテーマとしつつ、利用しやすい料金帯と宿泊特化型に相応しい客室面積を誇る。アメニティのセレクトや配置など機能性に長けたホテルでもある。
個人的には、京都にあっても宿泊特化型はやはり場所が重要であることを改めて感じる。京都駅八条口前のホテル密集エリアに立地するが、個人的な話で恐縮であるが、徒歩1~2分以内に大好きな焼き鳥屋と銭湯があるのが嬉しい。個々人の快適滞在に資する場所というのは宿泊特化であればなおさらのこと大切なポイントである。
また、朝食の評価も高いベッセルホテルズであるが、寿司好きとしては朝から手巻き寿司メニューがあるのも嬉しいポイントだ。
【ふふ 京都】
日本のスモールラグジュアリーシーンをリードしてきたふふブランドも京都へ進出した。南禅寺に近い琵琶湖疏水のほとりというロケーション。新たなふふが開業する度に感じるのは、「より極まっていく」ということ。調度品からコンセントのポジション、スイッチの感触まで感心することばかりだ。
ディナーも印象的。時々訪れるくらいの旅行者にとって奥深き京都グルメのハードルは高い。(観光地化した)名高いお店に入ってがっかりするアウェイ感は京都旅の一興かもしれないが、そんなパフォーマンスとは一線を画す実直な料理だ。
これまでホテル料理体験は数多くしてきたが、オープンカウンター越しに奮闘する料理長の一挙手一投足から生み出される「本気を感じる料理」の数々には思わず心を奪われる。
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京都がホテルの開業ラッシュと聞くと、「懲りずにまたブーム?」と思うかもしれないが、競争が激しいと差別化が進むのは世の常であり、京都のホテルもまた同様。コテコテの京フィーチャーから個性的なコンセプトへ、ブームを作るのがうまいのもまた京都のホテルならではの特徴といえるだろう。