もう今月7月にはオリンピックが開かれる。こうしている間にも世界各国から続々とオリンピックファミリーと呼ばれる選手やIOC委員などの大会関係者とスポンサー関係者、関連招待客が日本に押し寄せている。とくにスポンサーはIOCにとって絶対的存在、日本もVIP待遇で入国させているが、その中でもコカ・コーラ、Airbnb、アリババ、アトス、ブリヂストン、ダウ・ケミカル、GE、インテル、オメガ、パナソニック、P&G、サムスン、トヨタ、VISAのワールドワイドオリンピックパートナーは数百億とも言われる協賛金を出している。この下のクラスの各パートナー企業と違い日本人に馴染みのない会社もあるが、各社とも世界的な大企業で莫大な資金を提供している。IOCは是が非でも来日させたいし、彼らにオリンピック競技をVIP待遇で観戦してもらいたいのだ。
「そりゃそんだけお金出してくれてるんですから、見せてあげたくもなりますよね。私だって長距離のお客さんは嬉しいしね」
街中に繰り出す外国人
人間というのは基本、個々人それぞれの事情のみで動いている。当たり前の話だが、疫禍はその個々人を衝突させる。オリンピックをしたい政府、自治体、選手、そして金の絡む関係者のオリンピックファミリーと、そうではない企業や一般国民――前者は「別枠」で特別待遇、後者にはコロナ禍だから我慢しろ、それどころかお前たちのせいで蔓延しているくらいの勢いで責任を転嫁している。
「正直に言えば怖いですけどね、だって日本よりコロナ凄い国もいっぱいあるでしょう。私も1回目のワクチンは打ってますけど、本当に安心かなんてわかりませんからね」
オリンピックファミリーは3日間の待機期間という「別枠」で自由に移動できる。IOCのコーツ調整委員長もバッハ会長も特例で来日した。一応、行動計画の提出というエクスキューズはあるが、その他オリンピックファミリーやスポンサーに関してはホテルで14日間の待機期間中となっていても、レストランやコンビニへは行っても構わないとなっている。レストランは個室が条件だが、そんなもの誰がチェックするというのか。選手村すら複数人での会食と感染を防げなかったのに。
「意味ないですよね。私もたくさん乗せましたけど、タクシー使えばあちこち行けるし、タクシーで繁華街のコンビニ行ったっていいんですから」
まったくそのとおりで遊ぶ言い訳の「ちょっと遠くのコンビニまで」だって可能だ。衆目を気にしなければならないバッハ会長のような有名人はともかく、来日スポンサー企業の民間人など、オリンピックで来日した待機期間中の外国人とは誰もわからない。在日外国人との区別なんかつかない。それなのに、本来なら待機期間であるはずの来日外国人がオリンピックファミリーだからという「別枠」で街中に繰り出している。大会中はもっと増える。
「オリンピックファミリーじゃなきゃ外出るなって、面白いですよね」