芸能

大橋巨泉さんは「昭和史に残る偉人奇人」 接し方も“巨泉流”だった

大橋巨泉さんの独特な接し方とは(イメージ)

大橋巨泉さんの独特な接し方とは(イメージ)

 戦争の記憶をはっきり残し、成人してからは焼け野原からの復興と高度成長期のニッポンを牽引したのが「昭和ヒトケタ」世代だ。自らの力で前を向き、上を向いて生きていこうとした彼らは、後の世代にどんな教えを残したのか──。(文中一部敬称略)

「見事な開拓、改革の人だった。昭和史に残るキテレツな偉人奇人です」。漫画家の黒鉄ヒロシがこう称するのは、『11PM』(日本テレビ系)、『クイズダービー』(TBS系)など数多の人気番組の司会を務めた大橋巨泉(2016年没、享年82)だ。

「台本をテーブルに置いて堂々と見ながら喋ったのは、巨泉さんが最初。それまで台本は覚えるもので、画面のなかに映っちゃいけないものだった。でも巨泉さんは『なんでだめなんだ』と。今はみんなそれで助かってるでしょ。巨泉さんは恩人ですよ(笑い)」(黒鉄・以下同)

 昭和9年に東京・両国で生まれ、早稲田大学中退後、ジャズ喫茶に入り浸っていたことからジャズ評論家、放送作家となり、司会業に転じた。

『11PM』は“お色気企画の元祖”と呼ばれた一方、沖縄の本土復帰問題など硬派なテーマも取り上げた。競馬や麻雀の評論家としても活躍した。

「当時、競馬や麻雀といえば博打そのもの。競馬新聞を電車のなかで広げたり、社会人が『麻雀に行く』と言ったりしたら白い目で見られた。それを“いい大人”の嗜みに変えたのも巨泉さんの功績です。ジャズだって不良の音楽だった。巨泉さんは文化史には書き落とされてしまうようなものを拾い、エポックメイクしたんですよね」

 人との接し方も“巨泉流”だった。

「最初はものすごく礼儀正しいの。下からくるから気を許していると、3日目には呼び捨てになる。『世界まるごとHOWマッチ』(毎日放送)だったかなぁ、突然石坂浩二さんを本名の“へいちゃん”(武藤平吉)って呼んだりね。それでいつの間にか“へいちゃん”が浸透してしまう。テレビの伝わり方を熟知していた」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン