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2021.07.22 07:00  マネーポストWEB

東京都内、10年後の資産価値「落ちる街」「落ちない街」ランキング

AI分析で算出、東京都内の「資産価値が落ちやすい街」ランキング50

 コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増え、相次ぐ災害などもあって「住まい選び」への注目度が増している。なかでも気になるのが「将来の資産価値」だ。はたして自分の住まいは、10年後、20年後も資産であり続けるのか、それとも二束三文と化してしまうのか──。

【表】AI分析で算出、東京都内「10年後の資産価値が落ちにくい街」ランキング50

 東京の不動産市場はかつてない活況に沸いている。不動産ジャーナリストの榊淳司氏が指摘する。

「テレワークによるマンションの需要増加もあって、現在、都内の不動産はバブル状態にあります。いまは郊外も高値がついていますが、この流れが10年先も続くかどうかは不透明です」

 どの物件も高騰しているなかで冷静に見極めるべきは、“将来の資産価値”だ。

 不動産運用コンサルティングなどを行なう「リーウェイズ」は、AI(人工知能)を駆使して「10年後の不動産の資産価値」を独自に導き出している。同社の巻口成憲社長が説明する。

「多くの企業の不動産調査は、『いま売買したらどうなるか』にとどまり、将来の資産価値を予測するものは極めて少ない。我々は、2008年から収集している2億件を超える不動産情報をAIに学習させ、いまある都内の物件が10年後にどれだけ資産価値が変化するかを分析しています」

 リーウェイズの分析は、不動産の最寄り駅ごとに現在のファミリー層向けの新築物件の資産価値が10年後にどう変化するかを詳細にレポートしている。『週刊ポスト』ではこれをもとに、東京で「資産価値が落ちやすい街」と「資産価値が落ちにくい街」に分けリスト化し、それぞれ上位50位までランキングした。

「人気の街」に潜むリスク

 まず「落ちやすい街」を見ると、八王子(1位)、西八王子(3位)、国分寺(6位)、西国立(9位)など、多摩地区郊外に位置する駅名が並んだ。

 自然に囲まれ、ゆとりのある住居を求めやすい郊外は、テレワーク需要もあって注目されている。八王子は2021年ライフルホームズ「住みたい街ランキング」で4位に急上昇した。

 そんな「人気の街」が将来の下落リスクを抱えている結果となった理由を榊氏が推測する。

「現在、テレワークの浸透で郊外の広めの住宅が注目されているのは事実です。しかし長期的な資産価値という視点で見ると、決して見通しが明るいとは言えません。

 マンションにしろ戸建てにしろ、資産価値に大きく影響するのは依然として『都心へのアクセスの良さ』と『利便性』です。その点では郊外の物件は有利とは言えない。

 特に八王子などの多摩エリアでは、すでにマンションが乱立しており、今後も新築マンションの計画が多数ある。供給過多の状態なのです」

 東武練馬(2位)、花小金井(6位)など、私鉄沿線のベッドタウンも「落ちやすい街」の上位となった。

 こちらは「郊外」であることに加え、「最寄り駅の路線」もネックとなった。長谷川不動産経済社の長谷川高氏が語る。

「これまでの売り手市場では通勤に多少の難があっても売れましたが、都心に近い物件ほど売れやすいという傾向はいまだに根強い。それをAIが反映させた結果、都心までのアクセスが劣る東武東上線、西武新宿線、京王相模原線などの駅が『落ちやすい』と評価されたと考えられます」

 一方で「落ちにくい街」は原宿(3位)や代々木(16位)などのメジャー駅が上位にランクインしたが、1位は一日の平均乗降人員数が約1万4000人と知名度の低い参宮橋だった。

「近年では、ターミナル駅から一駅、二駅離れた街の物件が、落ち着いた生活環境からトレンドとなっています。参宮橋は、明治神宮や代々木公園が近く、緑豊かで、新宿や渋谷にも自転車で気軽に行くことができる。知名度は高くないですが、環境も良く利便性の高い地域です」(長谷川氏)

 一日の乗降人員数が約8000人と規模の小さい神泉も3位に食い込んでいる。

「京王井の頭線で渋谷の隣にある駅で、中高年には円山町のラブホテル街のイメージが強いかもしれません。しかし、いまは渋谷まで徒歩圏内の『奥渋エリア』同様に洒落た飲食店も増え、主に若い世代の人気が高まっています」(同前)

 仲御徒町(6位)、本所吾妻橋(14位)が上位となったのも、同様の理由が考えられるという。

「いずれも10数年前までは人の住むイメージが薄かったですが、たとえば仲御徒町は駅前にカフェが多くあったり、公園があったりと生活環境が整い始めています。近年は昔のイメージにとらわれない子育て世代が『住みやすい駅』として好むようになりました」(榊氏)

生涯住み続けるか、高齢になって住み替えるか

 ただし、実際に不動産を購入する場合、ランキングの「落ちる街」の購入は避け、「落ちない街」を選択すれば良いという安易な考えは避けるべきだ。

「そもそも住まいは“将来どれくらいの値段で売れるか”だけでなく、“そこでいかに快適な生活を送れるか”という点も大事です。たとえば自然が好きな人なら、山手線沿いの価値が落ちにくい駅ではなく、多摩地区の不動産を選べば、同じ予算でも自分の望むライフスタイルで暮らせて、余った分を老後資金に回すこともできます。

 一方で、将来的に自宅を売却して老後資産に充てようと考えているなら資産価値は無視できません。生涯住み続けることを考えているか、高齢になってから売って住み替えようと考えているかで判断は大きく異なるのです。まずは自分のライフプランをよく考えてから、購入エリアを見定めるべきでしょう」(榊氏)

 現在、不動産を保有している人もこれから購入を予定している人も、これを機に「将来の不動産計画」を見つめ直してはいかがだろうか。

※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号

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