相撲部屋“合流”の弊害
貴乃花部屋の消滅後、所属力士は、千賀ノ浦部屋(現・常盤山部屋)に移ったが、この部屋もまた、「所属する弟子が先代(元関脇・舛田山)時代からの弟子と、現親方(元小結・隆三杉)がスカウトしたグループに分かれており、そこに旧貴乃花部屋の力士が加入した」(前出・担当記者)という複雑な事情を抱える。
藤島部屋と二子山部屋の合併を経験している紀子さんはこう言う。
「2つの部屋が一緒になるのは大変で、弊害が多い。ずっと一緒にやってきた家族の中に他人が入ってくるわけですから。それまでの環境や相撲への向き合い方が違い、藤島部屋のカラーに染めるのは難しかった。どうしても軋轢が生まれます」
部屋のなかに分断があれば、ストレスや対立関係から不祥事にもつながりやすい。
「貴乃花が弟子たちを常盤山部屋に預けたのはやむにやまれぬ事情だろうけど、受け入れる側も大変だったはず」(同前)
常盤山部屋に残る旧貴乃花部屋の関取は、大関・貴景勝と今年1月場所に十両昇進を果たした貴健斗だけ。彼らはこれから、どんな道を歩むのか。
※週刊ポスト2021年8月13日号