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金メダルを手ににっこり笑う大橋悠依選手(撮影/JMPA)

 だが、ニューヒロインの誕生で明暗が分かれてしまったのが、日本男子競泳の瀬戸大也選手だろう。24日の400メートル個人メドレーでペース配分を読み間違えてまさかの予選敗退。実況していたアナウンサーが必死に応援を送り、ペースを上げるよう叫んでいたが、その声が届くはずはない。300メートルまではトップでターンしたものの、自由形の最後50メートルで他の選手らの猛追に負けた。

 男女の違いはあれど、同日に予選が行われた同じ競技だったこと、瀬戸選手は金メダル候補の大本命だったこともあり、「自由形で読み間違えた。ちょっと信じられない」という彼の発言はことさら目立ってしまった。不倫問題の影響もあるが、大橋選手が輝けば輝くほど、瀬戸選手の影は薄くなっていった気がする。このように、前後の対比するものによって印象が変わったり、差が大きく感じられたりすることを「コントラスト効果」という。

 敗退について瀬戸選手は、「(予選で)余力を持って(泳ぐ)というところになる。流したという表現になるが、そういうのは自分の戦い方」と説明。ネットでさまざまな声があることについて、「めっちゃむかつきますけど、戦っているのは自分なので」と話し、さらに批判を浴びることに。

「気にもしつつあまり気にしないところもあるので、そういうのを自分のパワーに変えたい」と言い切ったが、27日の200メートルバタフライも準決勝で敗退。前向きな発言をしていたものの、彼自身が一番、コントラスト効果の影響を受けていたのではないだろうか。大橋選手の勝利やネットの声がこれまでにないほど気になってしまい、良い流れを引き寄せることができなかったのだ。

 29日に行われた200メートル個人メドレー準決勝では、全体3位で決勝進出を決めた。ここまできたら吹っ切るしかない。決勝では彼らしい泳ぎを見せ、表彰台に上がってほしい。

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