そういう人だったから、ステージ4のがんが見つかった時も特に変わりませんでした。むしろ私たちが先回りして心配することを嫌がっていたのだと思います。病気はなるようにしかならないという考えでした。こう言われたことがあります。
「こうやって普通に生活しているのだから、自分は大丈夫。もし体調が悪いとか、具合が悪くて仕事に響くようなことがあれば他人様に迷惑がかかることなので、その時はちゃんと言う。俺はそこには責任をもって生きているから余計な心配はしないでほしい」
そして、こうも言いました。
「俺の心配をすることで、家族が自分のやりたいことを我慢しないでほしい。自分たちの好きなことをして生きてくれ。今はまだ大丈夫なんだから、みんな普通の生活をしてほしい」
自分が旅立ったあとに家族がつらい思いをしないように、「命の終わり方はこんなものだよ」と見せてくれたのでしょう。そういう人でした。