人の話を聞くことが政治家にとって大事な仕事であるとも、祖父から教わりました。
大学時代に、祖父が「ゼミのメンバーを集めてくれ」と言ったんです。「今の若者が何を考えているのか聞きたいから、お昼にカレーライスを食べながら意見交換をしよう」と。それでメンバーに家に来てもらったのですが、当時80歳くらいの元総理が大学生の話をテープレコーダーで録音し、メモを取りながら聞いている。一人ひとりに対して「あなたは今の日本をどう思っているか」といったことを質問して、意見を言ってもらう。それに対して祖父は意見するわけでもなく、しっかり話を聞いていました。
祖父は引退後も常に学び続けていました。一緒に出かける時にも、車の中ではずっと新聞を読んでいるか、スピーチや政策について原稿を書いていました。
頭の中で常に国のことを考えるか、自身の修養を積む。その姿は、祖父からかけられた多くの言葉とともに強く印象に残っています。
※週刊ポスト2021年8月13日号