康隆氏を抱く中曽根元首相と蔦子夫人(写真は1985年撮影/本人提供)

康隆氏を抱く中曽根元首相と蔦子夫人(写真は1985年撮影/本人提供)

 人の話を聞くことが政治家にとって大事な仕事であるとも、祖父から教わりました。

 大学時代に、祖父が「ゼミのメンバーを集めてくれ」と言ったんです。「今の若者が何を考えているのか聞きたいから、お昼にカレーライスを食べながら意見交換をしよう」と。それでメンバーに家に来てもらったのですが、当時80歳くらいの元総理が大学生の話をテープレコーダーで録音し、メモを取りながら聞いている。一人ひとりに対して「あなたは今の日本をどう思っているか」といったことを質問して、意見を言ってもらう。それに対して祖父は意見するわけでもなく、しっかり話を聞いていました。

 祖父は引退後も常に学び続けていました。一緒に出かける時にも、車の中ではずっと新聞を読んでいるか、スピーチや政策について原稿を書いていました。

 頭の中で常に国のことを考えるか、自身の修養を積む。その姿は、祖父からかけられた多くの言葉とともに強く印象に残っています。

※週刊ポスト2021年8月13日号

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