「聖地なんで来ました。やっぱり品揃えいいですね」
お台場ではガンダムベース東京のクールな袋を持った千葉の若者と立ち話。
「転売ヤーの連中がごっそり買ってるんで、ほんとむかつきます」
巣ごもり需要と新作の劇場公開もあって巷のガンプラ熱は再燃している。ネットで買えばいいのにと思うかもしれないが、やはり実店舗で買う特別感は格別だ。お台場もまた、そんな特別を満喫する人々で賑わっていた。
オリンピックできるんだから、もうなんでもいいじゃん
「お客さん少ないんで、お願いします」
秋葉原、炎天下のコロナ禍でもメイドさんは路上に立って客引きをしている。若いとはいえこの気候でずっとマスクは苦しいだろうに。実際、隅っこに行ってマスクをずらしていた。ちょっとかわいそうだ。秋葉原の人出は新宿や渋谷に比べれば少ない。外国人頼み、インバウンド頼みの果てに今も苦戦中だ。
「ここに来てる連中は覚悟が違うから」
それでも元気なのは居酒屋、秋葉原でいまだに24時間酒が飲める店、意地でも営業しているどころか店舗を拡大している。いつ来ても大盛況、客が来るなら国や都の要請など無視したもん勝ちが現実だ。以前は都も厳しく対処していたが、オリンピックが始まってからはゆるいどころか要請も来ない。都もオリンピック中はバツが悪いのだろうか。
「オリンピックできるんだから、もうなんでもいいじゃんね」
通り沿いのテーブルで呑む若者二人。彼らがアウトローなのではなく、これは都内で多く聞かれた素朴な意見だ。開幕直後からメダルラッシュで盛り上がる日本、それに乗じてというわけではないだろうが、一般国民は街に繰り出し現実路線へと完全にシフトした。なぜ一般国民だけが我慢しなければならないのかと。
「ワクチン打ち終わったからまあ、大丈夫だと思います」
銀座松屋前、猛暑を悠然と歩く老夫婦が答えてくれた。年齢を考えれば、むしろ熱中症を心配したほうがいいレベルの暑さで、「マスク苦しいわ」と奥さんのほうはボヤいていた。ワクチンもまた無意識の「言いわけ」になってしまうのかもしれない。
「ちょっとホッとしてます」