木村院長によれば、これには理由があるという。
「スイカはもともと多量の水分が胃液を薄めるため、天ぷらなど消化に時間がかかる油っぽい食事の後に食べると、消化不良を起こし、下痢や吐き気などの症状が出てしまいます。油ものではない消化の良い食事の後に摂るよう心がけたいですね」
ちなみに「ビールとスイカ」も避けるべき組み合わせだ。ともに利尿作用があり、食べ過ぎると脱水症状を起こす恐れがあるという。
塩をかけてはいけない
それでも、今年のような酷暑は冷やしたスイカを食べたいという人は多いだろう。どの程度の量なら食べても問題ないのか。木村院長が語る。
「腎機能が低下している人は、1日のカリウム摂取量を1500mg以下にするよう指導します。
スイカは100gに約120mgのカリウムが含まれており、コンビニやスーパーでよく売っている3cm角のカットスイカ5切れ(約160g)でも200mgとなる。このあたりが適量でしょう。カリウムは野菜や果実、海藻にも含まれるので、気をつけないとすぐに1日の摂取上限を超えてしまうのです。
スイカが大好物だが腎機能が不安という人は、病院で採血検査をすれば血中のカリウム濃度がわかるので、かかりつけ医に相談してみるのも良いでしょう」
意外にもスイカは高カロリーであることも知っておきたい。一般に4~5kgの平均的なスイカは1000~1250キロカロリーとされる。半玉食べるとご飯3杯分に匹敵する。
「スイカに必ず塩を振って食べる人がいますが、高血圧やむくみの原因になり腎臓にも良くありません。とくに汗をかかない日などは、いくらおいしくてもスイカに塩はガマンしてほしい」(森川医師)
コロナ禍の夏、家でスイカくらいは自由に食べたいものだが、決して“甘くない”一面もあることを肝に銘じたい。
※週刊ポスト2021年8月20日号