1年前には「コロナ治療の切り札」と期待されたアビガンだが、その後の治験では明確な有効性を示すことができず、いまだ評価は定まっていない。一方で、マダニ感染症に対しては、対象患者の数はまだ少ないものの、目を見張る成果をあげていると言えそうだ。一方で、それでも致死率は高く、さらには人間のように感染予防ができないイヌやネコの感染を防ぐのは容易ではない。
「ネコの致死率は60~70%、イヌは20~30%とされていますが、その後の研究ではイヌの致死率も50%程度あるという見立てもあります。ヒトであれば野山に入る時はなるべく肌を露出しないこと、市販のダニ除けを活用すること、そして野良イヌや野良ネコ、屋外で飼っているイヌやネコが弱って見える時には、つい可哀想だと手を出したりせず、保健所に連絡するなど冷静に対処することが肝心です」(安川氏)
マダニの活動期間は主に春から秋。各地で医療が逼迫していることもあるから、この夏は特に注意が必要だ。