広告媒体としての価値が逆転するとともに、スマホ動画がテレビの世界に進出するようになった。
「制作費が削られたテレビ番組は半径5mにネタを求めるようになりました。たとえば、各局がスペシャルで放送する衝撃映像番組のネタ元は、ほとんどが一般人がスマホで撮影したコンテンツです。
以前は海外のテレビ局の映像や資料などを入念なリサーチのもと、高額で買い取っていましたが、いまは一般人の撮影した動画を再生回数が多い順に流せば、それでゴールデンの番組が成立してしまう。
バラエティーだけではなく、報道番組も視聴者提供の映像ばかりです。スマホで誰でも簡単に動画を撮れる時代になって、“一億総スクープカメラマン”というべき時代が訪れてしまった。実際に先日、熱海で発生した地滑りを伝えるテレビのニュースでは、一般人が撮影した映像ばかり使用されていました」(碓井さん)
視聴行動も変化した。若者の間では、テレビドラマもスマホで見ることが主流になっている。
「いまの若者たちは各局がネットに配信したドラマをスマホで見るのが当たり前です。録画すら面倒くさがって、放送終了後にスマホ動画で一気見する若者が相当数いる。もはやお茶の間で家族一緒にオンタイムでテレビ番組を見る光景は、過去のものになりつつあります」(碓井さん)
※女性セブン2021年8月19・26日号