「実践力教育」を強化する女子大
女性社長に女子大出身者が多い点について、今回の調査結果をまとめた帝国データバンク情報統括課の旭海太郎氏はこう分析する。
「女性社長数で上位にあがっている女子大では、自立や、社会で力を発揮できる思考力、実践力を掲げた教育を行っています。男性がいない女子大という環境の中で、自立のマインドや組織内におけるリーダーシップが養われているのではないでしょうか。
地方の企業経営者や自営業者などの子女の場合は、同族会社のなかで取締役を経験したうえで承継しているケースも見られます。また、女性の社会進出が活発化するなかで20代や30代で起業するケースも少なくありません」
アメリカでも優秀な女子大出身者
アメリカではこんな興味深い指摘もある。
「2007年の米国の研究報告に、全米の大学の女子卒業生のうち、女子大の卒業者は4%しかいなかった。にもかかわらず、女性国会議員の20%、ビジネスウィーク誌が取り上げた成功したビジネス・ウーマンの30%、大手企業1000社の女性役員の33%が女子大出身者だった。それだけ女子大の教育システムの優秀さを物語っている」(経済ジャーナリスト)
初の主要政党女性大統領候補となったヒラリー・クリントン(ウェルズリー大)、初の女性国務長官となったマデレーン・オルブライト(ウェルズリー大)、環境問題のバイブル『沈黙の春』の著者で生物学者のレイチェル・カーソン(ペンシルベニア女子大)といった著名人も女子大出身。日本の女性社長に女子大出身者が多いのも、そうした傾向があるのかもしれない。
「10代後半から20代前半の時期に、女性だけの環境の中で自ら考え、リーダーシップを取るといった経験がのちに生かされているのではないか」(同前)
女子大の存在価値にもつながる話である。