東京パラリンピックを児童が観戦する「学校連携観戦プログラム」に意欲を見せる小池都知事(時事通信フォト)

東京パラリンピックを児童が観戦する「学校連携観戦プログラム」に意欲を見せる小池都知事(時事通信フォト)

 世界中でデルタ株が子供に襲い掛かっている。アメリカでは8月12日からの1週間で、新型コロナに感染した子供が12万人を突破し、感染者全体の5人に1人が子供になった。1か月前と比べると約5倍だ。入院する子供も増え、14日には1902人と過去最多を更新した。

「10~18才は全人口の10%なのに、コロナの死者の30%を占めた」

 こんなツイートをしたのは、インドネシアの小児科学会の会長だ。同国では、7月に毎週100人以上の子供が亡くなる異常事態が発生した。日本も例外ではない。厚生労働省によれば、7月20日までの1週間で3450人だった10代以下の感染者数は、8月17日までの1週間で2万2960人になり、6倍以上に増加した。

 これまでは、子供は感染してもほぼ無症状だったが、最近は発熱を訴えるケースが相次いでいる。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広さんが、子供への感染拡大の現状をこう指摘する。

「デルタ株は水疱瘡並みの感染力があり、1人が8~12人にうつすとされます。頼みの綱であるワクチンは有効性と安全性の面から、12才までは打つことができない。こうした背景が、感染を拡大させている要因の1つと考えられています」

 さらに危惧されるのが、子供から親への家庭内感染だ。これまでの家庭内感染は、親が外からウイルスを持ち込み、家庭内で子供に感染するケースが多かった。それが今後は逆になる。引き金になりかねないのが9月から始まる新学期である。

 前述したように、新学期のスタートを遅らせる学校が出てきてはいるが、萩生田光一文部科学相は8月20日の会見で、「国から全国一斉で、休校を要請することは考えていない」と発言。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが指摘する。

「学生世代への感染拡大が収まらないうちに新学期を再開すれば、学校でクラスターが発生する可能性が高まります。子供がそのウイルスを家に持ち帰ることで、家庭内感染につながります」

 小学生の子供を持つ30代の女性は、まもなくやって来る新学期への不安を隠せない。

「ウチの子は夏休み中に帰省や旅行を自粛して、手洗いやうがいを徹底していました。でも、なかには子供をプールやキャンプ場に連れ出し、その様子をうれしそうにSNSにアップしていた同級生の親がいます。学校が始まってから、そうした子とウチの子が一緒の教室で過ごすと思うと、心配でなりません」

※女性セブン2021年9月9日号

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