お盆の九州を大雨が襲った(イメージ、AFP=時事)

お盆の九州を大雨が襲った(イメージ、AFP=時事)

「盆休みですが、夏休みで嫁も子供も家にいて、外は雨も降っていて危険だし、土砂災害警報もでている。そもそもコロナでどこにも行けない。家にいても喧嘩ばかりだから、パパは邪魔者(笑)。田舎だと結局パチンコになっちゃいますね。少し前はコロナの時期にパチンコなんて、ってみんな控えていましたけど、今では関係ないですね。パチンコではクラスターが出ていないって聞くし、安全なんだと自分に言い聞かせながら通っています」(溝口さん)

 溝口さんによれば、停電や床上浸水という被災当事者の住人ですら、パチンコ店に集まっていたというから驚きだ。

「店内のソファー陣取って、農作業着を着たおじさんは『自宅が冠水して、裏の家が流されそうだ』と知人に説明しながら、一生懸命パチンコ議論に花を咲かせていました。避難所にも行かずパチンコかと思いましたが、現実逃避をされているのかもしれないと思いました」(溝口さん)

 被災者が近くにいるというのに、ギャンブルなどとはけしからん──。

 そんな思いを抱く人もいるかもしれないし、田舎だから他に娯楽もなく「仕方ない」と感じる人もいるだろう。しかし、パンデミックと災害の合間に起きた「パチンコ回帰」の流れは、どうやら一時的なものらしい。

「業界団体の勉強会で都内や関西圏にも行きますが、どこも同業者は瀕死状態。遊戯台への規制に加えてコロナでトドメを刺された感じです。廃業する店も少なくなく、かといって別業態に転換をと考えても、土地がある以外に他の商売のノウハウはほとんどない。会社の幹部は、豪雨期間の客足を見て、もう2度と来ない業界の黄金期を思い出させると感慨深く眺めていたほどです」(九州北部のパチンコ店関係者)

 もはや生き残りというより、どう延命を図るかが喫緊の問題となりつつあるパチンコ・スロット業界。大災害の中に見た「光明」の幻だったのか。

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