「1961年に『シャボン玉ホリデー』(日本テレビ系)のような音楽バラエティー番組が次々に制作されるようになるとスターが身近な存在に。
俳優として映画に出演し、テレビでは歌を歌う。そんな若きスターが生まれたのもこの時期。西郷輝彦さん(74才)、橋幸夫さん(78才)、舟木一夫さん(76才)の御三家がまさにそう。
端正な顔立ちの西郷さん、切れ長の目元が涼しい橋さん、笑顔が愛くるしい舟木さんと、それぞれの個性が光り、女性たちは、それぞれ好みの人を応援するようになりました」(沖さん・以下同)
1960年代半ばになると、それまでの、寡黙で無骨な男性像が一変する。
「ザ・ビートルズの来日やグループサウンズブームで、ザ・タイガースの沢田研二さん(73才)のように、華奢で中性的なルックスの男性が人気を集めるようになりました。
このときアメリカでは、長髪に裾が広がったパンタロンをはくヒッピー文化が起こり、日本にもそのブームが到来。吉田拓郎さん(75才)など髪を伸ばしたフォーク歌手が登場し、既存の価値観に反発するスタイルが生まれました」
ヒッピースタイルを真似る若者が全国にあふれ、スターの長髪はスタンダードになっていく。
「そのうち、同じ長髪でさまざまな個性が誕生してきます。その象徴が、郷ひろみさん(65才)。
新御三家といわれた西城秀樹さん(享年63)は、長髪にすることで男性特有のセクシーさが前面に出ていましたが、郷さんは最初、“女の子”と見間違えるほどフェミニンさが際立ちました。
そこから城みちるさん(63才)、あいざき進也さん(64才)といった中性的なルックスのスターが人気となり、この頃から女性が男性に対し、“かわいい”という感情を持つようになったのです。
1960年代前半、すでに複数の女性週刊誌はありましたが、いまほどの情報量はなく、スターの私生活は、まだベールに包まれていたといわれています」(牛窪さん)
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2021年9月9日号