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任天堂他3社が新採用された「日経平均」に市場から向けられる厳しい目

日経平均株価は3万円台を回復(時事通信フォト)

日経平均株価は3万円台を回復(時事通信フォト)

 菅義偉首相が退任を表明したことを受け、次期首相への政策期待の高まりから日経平均株価は一時3万円台を回復するなど大きな上昇を見せている。そうしたなか、日経平均を算出する日本経済新聞社は6日、日経平均を構成する225銘柄を見直し、キーエンス、村田製作所、任天堂の3銘柄を10月1日から新たに構成銘柄に採用すると発表した(代わりに、日清紡ホールディングス、東洋製罐グループホールディングス、スカパーJSATホールディングスが除外される)。

 これら3銘柄は、かねてより日経平均に採用されてもおかしくない有力企業と見られていた。野球チームにたとえると「日経ヘイキンズ」が次に指名すると見られる有力なドラフト候補であった。入団の噂が浮かんでは消え、消えては浮かびを繰り返し、ようやく本指名されて入団する格好である。日本株を代表する指数の構成銘柄に、これら3社が加わることに異論を挟む人は少ないだろう。

 それにしても、これら3社が、なぜ日本を代表する株価指数に採用されてこなかったのか。経済ジャーナリストの和島英樹氏が解説する。

「これら有力な3社がこれまで採用されてこなかった理由としては、株価が高い“値がさ株”だったことが大きいでしょう。キーエンスの7万2000円台をはじめ、任天堂は5万5000円台、村田製作所も1万円を超え、いずれも高い。これだけの値がさ株を指数にそのまま採用すると、日経平均そのものの値が大きく動いて連続性が失われてしまうとして、入れるに入れられない事情があったのです」(和島氏・以下同)

 そこで日経新聞は、今回から指数に採用する際の株価を調整する「株価換算係数」を設定して、キーエンスと任天堂を「0.1」、村田製作所を「0.8」とした。

「簡単にいえば、キーエンスと任天堂の株価を10分の1、村田製作所の株価を8割に減らして、株価へのインパクトを減らそうとしているのです。とはいえ、疑問に思うのは、既存の採用銘柄は一切その調整をせず、新規採用組だけに適用したことです。日経平均が手本にしているNYダウは統一した基準で価格を設定しているのに、日経平均の採用銘柄には基準の統一性がないことになります」

 そもそも日経平均は、「指数としての連続性が乏しい」と指摘されてきた。ITバブル真っ只中の2000年4月には、時流に沿えるように30銘柄もの大幅入れ替えをしたが、その結果、ITバブル崩壊に伴って新規採用銘柄が全面安に見舞われ、大きな下落につながった。

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