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2021.09.09 15:00  マネーポストWEB

トヨタの大誤算 東京五輪で次世代技術を披露する予定だったが、無観客で…

生活支援ロボットなどを東京オリパラ観客に披露する予定だった(時事通信フォト)

 東京パラリンピック開催中の8月26日午後、パラリンピック選手村を巡回する自動運転バスが、人身事故を起こした。この自動運転バスの車両を提供し、運営していたのはトヨタ自動車で、豊田章男社長は8月27日、自社サイトの「トヨタイムズ放送部」に緊急出演して「多くの方々にご心配をおかけし大変申し訳ない」と謝罪した。

【写真】東京五輪の会場などで披露する予定だった「ミライトワ」と連動するロボット

 この事故に限らず、東京オリパラではトヨタにとって想定外の事態が相次いだ。

 トヨタは、五輪のスポンサー枠の中では最上位に位置するワールドワイドパートナー(全14社)で、スポンサー料は2024年までの10年間で2000億円にも上ると言われている。

 さらに東京オリパラでは、選手村での移動用としてこの自動運転バス『e-パレット』だけでなく、観客を運ぶために燃料電池バス『SORA』を100台、大会関係者の移動用に燃料電池車『MIRAI』を500台、その他合わせて3340台を提供した。

 ところが、五輪は無観客開催となり、海外からの選手団や大会関係者の人数も大幅に減らされ、移動も制限された。経済ジャーナリストの小泉深氏が言う。

「無観客なので、燃料電池バスで移動する観客はおらず、五輪のロゴが入った『MIRAI』が大会関係者を乗せて会場周辺を走り回る姿もほとんど見かけなかった。

 トヨタはこうした会場を結ぶ車両だけでなく、会場内でも、観客の観覧席誘導や物品運搬を行なう生活支援ロボット『HSR』、『DSR』や、フィールド競技サポートロボット『FSR』を世界中からやってくる観客に披露するはずだったが、これも無観客になって目論見が完全に外れました」

 多額のスポンサー料を支払いながら、技術をアピールする場を失ってしまったのは大きな痛手になったと、自動車ジャーナリストの佃義夫氏も口を揃える。

「トヨタは東京五輪の場を“ショーケース”と称して、未来のモビリティ社会の実現に向けた取り組みをアピールする場と位置付け、次世代技術を披露し、体験してもらう場にする考えでした。

 しかし、コロナ禍でその計画は見送らざるを得なかった。トヨタは五輪開催直前に、日本の自動車メーカー10社共同で、自動運転車80台の公道デモ走行を実施する予定でしたが、これも中止になった」

※週刊ポスト2021年9月17・24日号

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