人の役に立っている実感が得られると、自己肯定感も高まる。そのために社会と繋がっていれば、若者との交流も生まれて、世代間の理解も深まることだろう。
「現役で働く世代にとって、65歳以上の高齢者と接する機会はほとんどありません。私は40代のときにボランティアを始めたのですが、メンバーは定年後のおじいちゃんと子育てを終えた主婦ばかりで、『ここにはお年寄りがこんなにいるんだ』と驚いたものです。
若者は自分もいつか年を取ると頭ではわかっていても、具体的なイメージはできていないと思います。今は高齢者を非難している若者だって、年を取れば若者から叩かれる側になってしまうかもしれません。世代間の断絶を埋めるためには、互いに交流して理解しあうことが必要です」(林氏)
ゼロベースから「第二の人生」を始めるケースでは、基本的に何をしてもいいし、何をしなくてもいいはずだ。そんな「何でもあり」な環境を不安に感じるのであれば、仕事以外の自分の生き方を見つけておくことが肝心だろう。
「年金生活者の方々に取材したとき、皆さんの口から『どうやって暇をつぶすか』という言葉がよく出てくるのが気にかかりました。『どうすれば社会に恩返しができるのか?』など何か目的意識を持つことが、張り合いのある老後を過ごす秘訣と言えそうです」(林氏)
◆取材・文/原田イチボ(HEW)