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2021.09.14 16:00  マネーポストWEB

株価を左右する自民党総裁選「河野氏・高市氏なら買い、岸田氏なら売り」の理由

自民党総裁選に向けて日経平均株価も年初来高値を更新(時事通信フォト)

 菅義偉首相が9月3日に退任を表明したことを機に、日本の株式市場は大きな上昇に転じている。8月下旬に2万8000円を割り込んでいた日経平均株価は、次期首相への政策期待の高まりから3万円台を回復している。

 市場関係者の間では、自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)後に予定される衆院選を控え、さらに騰勢は強まると予想されている。カブ知恵代表の藤井英敏氏は、こう分析する。

「日本株は9月3日を境に景色が変わり、株価上昇の“ギア”が入ったと見ています。過去の例でも、1990年以来、過去30年あまりで衆院選は10回実施され、総選挙の投開票日までに株価はほぼ間違いなく上昇している。選挙期間中に株価が上昇した場合を『勝ち』、下げた場合を『負け』とすると、その間の日経平均の勝率は『10勝0敗』と100%に達し、TOPIX(東証株価指数)も『9勝1敗』と、これほど強いアノマリーはそうそうない。

 まして支持率が下がっていた菅首相の退任で、総選挙の“顔”が変わるため、自民党は議席数を減らすのはやむないとしても、大きく負ける可能性は低くなったと見られている。まだまだ上昇が見込めるのではないでしょうか」(藤井氏、以下同)

 とはいえ、最大の焦点は「誰が次期首相になるか」である。総裁選の告示を前に、岸田文雄・前政調会長、高市早苗・前総務相に続き、河野太郎・行政改革相が出馬を表明。石破茂・元幹事長や野田聖子・幹事長代行も出馬を検討してきたが、現時点では、岸田氏、高市氏、河野氏の三つ巴の争いになることが予想されている。

 藤井氏も「誰が自民党総裁になるかで株価は変わってくる」と語る。

「まず河野氏は、ワクチン担当大臣として露出度が高く、ツイッターでも人気を集め、各メディアの世論調査などでも支持率が高い。もし河野氏で決まるようなら、国民的人気を背景に衆院選で自民党が大きく負ける可能性が低くなるため、日経平均はさらなる上昇も予想されます。ただし、河野氏も市場では緊縮財政派と認識されており、短期的にはともかく、長期的な株高は期待薄かもしれません。

 それでも、すでにドル建て日経平均やTOPIXがバブル後最高値を更新しており、日経平均もそれに続く。今年に入って日経平均は3万1000円近くから2万7000円割れまで4000円ほど下がっており、その“倍返し”で、安値から8000円上昇した3万5000円になってもおかしくないと見ています」

すでに市場では「ポスト菅の関連銘柄」が物色されている

 安倍前首相から支持されていると言われる、高市氏の場合はどうか。

「株式市場にとって“好都合”なのは高市氏でしょう。投資による値上がり益が目減りするキャピタルゲイン課税を政策に掲げていることは市場にとって懸念材料ではありました。しかしながら、高市氏は9月13日、BSテレ東『日経ニュース プラス9』に出演し、主張する金融所得課税の引き上げは物価安定目標のインフレ率2%を達成後に実施する考えを示したので、高市氏が新総裁になっても、日本株が『高市ショック』に見舞われる可能性はなくなりました。

 高市氏は、自身の経済政策を『サナエノミクス』と銘打って、これまで大きな株高をもたらしてきたアベノミクスの継承者を自負しています。高市氏は、物価上昇率2%を達成するまで基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を凍結する方針を掲げており、積極的な財政出動が期待でき、これは市場でも好感されるはずです。中長期の時間軸なら、株価的には河野氏よりも高市氏が新総裁になった方がより大きな上昇が見込めるのではないでしょうか」

 これら両氏と比べると、市場関係者の間での岸田氏の評価は、そこまで高くないようだ。

「経済政策の面から見ると、岸田首相の誕生は株式市場にとって、あまり歓迎されないかもしれません。『令和版所得倍増計画』を謳っても、そもそも市場では“緊縮財政派”と認識されているからです。コロナ対策で国民の生命・財産を守らないといけないときに、最優先すべきは積極財政による大型経済対策なのに、国のバランスシートにこだわっている場合ではない。岸田氏が“ポスト菅”の座に就けば、せっかくの株高基調に水を差すかもしれません」

 国民的人気がありながらも出馬を断念する意向が伝えられている石破氏については、「万が一、石破氏が新首相になった場合、株式市場は苦しい展開が予想されます。現時点では、経済対策に明るい有力なブレーンも見当たらないことから、株価上昇は期待しにくい」と分析する。

 少々気が早い気はするが、すでに市場では「ポスト菅の関連銘柄」が物色されているという。

「反原発を公言してきた河野氏が『安全な原発は再稼働』と当面容認する姿勢を示し、“河野氏関連銘柄”として『電力株』が注目されるほか、『再生可能エネルギー・電力自由化』関連、そして『脱ハンコ』関連も物色されそうです。

 また、“高市氏関連銘柄”としては、高市氏が2020年代に核融合炉を必ず実現すると言葉を強め、国産の量子コンピュータ開発とセットで次世代の国家プロジェクトにすると発言しています。このため、『核融合』『量子コンピュータ』関連も注目されています。また、育児や介護をしながら働く人たちをサポートする方針を打ち出しているため『育児』関連も注目されています」

 はたして日本株はどうなるのか。その行方を占う総裁選は刻一刻と迫っている。

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