高橋医師は鳥関連過敏性肺炎の診断の難しさについてこう話す。
「咳、微熱、息切れなどの症状でクリニックを受診すると、医師は風邪を疑い、聴診器を当てます。その際に、肺の線維化が起きていれば特徴的な“パリパリパリ”という捻髪音がします。さらにX線や胸部CTで白い影が映っていれば鳥関連過敏性肺炎を含めた間質性肺炎などを疑いますが、そこから『鳥関連』であると診断を確定するのは専門家でも難しい。
原因となり得るアレルゲンは様々ありますが、とくに多いのは真菌(カビ)と鳥由来のタンパク質なので、生活環境や職場環境でこれらに触れていないか具体的な質問をする必要があります。鳥関連であれば、『鳥を飼っていないか』『家のベランダなどに鳥が飛来しないか』『羽毛布団などの羽毛製品を繰り返し使っていないか』などを丁寧に聞き取ります。街中のクリニックなどでは、そこまで手が回らないこともあると考えられます」
問診などを経て鳥関連過敏性肺炎が疑われる場合、そこからさらに呼吸器専門の医療機関で確定診断のための検査を受ける必要がある。
「鳥関連を含め、アレルギー性である過敏性肺炎の患者数について正確に把握した疫学データはないでしょう。その理由は、過敏性肺炎であることを医学的に確定診断することがとても難しく、疑ったレベルで診断が止まっている症例が大多数だからです」
診断は困難だが、放っておけば重大なリスクがある。では、一体どうすればいいのか。
押し入れにあるだけで…
鳥関連過敏性肺炎と診断されたり、その疑いがある場合は、「原因となる物質」を徹底的に排除することが必要になる。鳥を飼っているなら手放す、羽毛布団を使っているならそれを捨てるということだ。
東京医科歯科大学呼吸器内科では、羽毛布団などが原因となる鳥関連過敏性肺炎についての研究を進めているが、2007年に学会誌に報告された症例では、61歳の男性が、羽毛布団が原因の慢性型過敏性肺炎と診断され、羽毛布団の使用を中止。しかし、症状の改善が見られず、改めて徹底的な問診を行なったところ、羽毛布団を押し入れの中に保管していたことが判明し、それを廃棄したところ症状が改善したという。