「現代劇を京都で撮る必要はない」
前出のテレ朝関係者が語る。
「2020年の数字の落ち込みを横目に、テレ朝の上層部は番組編成の再編に着手しました。その結果、今年の夏までには、木曜8時のドラマ枠は、来年秋に終了することが決まったようなんです」
しかし、沢口は22年の長きにわたって木曜8時枠の「顔」であり続けた功労者だ。全盛期より落ちたとはいえ、常に10%以上の視聴率を記録する人気ドラマがなぜ、定位置を奪われるのか。
理由の1つには、近年のテレビをめぐる地殻変動があげられる。
「最近のテレビ視聴率は、旧来の世帯平均視聴率ではなく、“どの年代が見たか”を示す個人視聴率を重視するようになりました。特に若者から現役世代までは広告効果が高く、スポンサーはこの年代の視聴率を求めます。
一方で『科捜研』は、世帯平均視聴率はまずまずでも高齢者の視聴率が高く、スポンサー受けがあまりよくないという側面があった。実際にテレ朝では今年4月に『これからは19~49才のファミリー層に働きかける』との方針を固め、以降はお笑いタレントの千鳥などを重宝して、若者向けの番組制作にシフトしたのです。
つまり、『木曜ミステリー』もこの流れのなかで、視聴者を若返らせるために、定番だった枠を終了させて刷新しようという試みなのでしょう」(制作会社プロデューサー)
『科捜研』を制作する東映とテレ朝の関係の変化を指摘する声もある。
「東映とテレ朝には資本関係があり、これまで戦隊モノや刑事モノ、時代劇などで長年タッグを組んできました。しかし、近年になってテレ朝は、高齢者向けのイメージがある東映ドラマに頼らず、若い視聴者層に振り向いてもらえるような作品作りを試みていた。でも、いざやろうとすると、昔からのしがらみもあってなかなか難しい部分も多かったようです。その流れが変わり始めたことと、岡田会長が亡くなったことは無関係ではないかもしれません」(前出・テレ朝関係者)