「ただし、眼窩や眼球内にがんが起こることは非常にまれで、腫瘍ができても良性のことが多い。それ以上に問題なのは、抗がん剤の副作用で網膜や視神経がダメージを受け、視力低下のリスクがあること。そして、なぜか眼科へ来た患者は、がん治療中であることを眼科医に伝えないことが多い。眼科医は原因がわからないため、対処のしようがありません」
目は臓器とつながっているということを忘れず、医師にはすべて説明しよう。
糖尿病の悪化で失明する
視力が下がったと感じたときも、加齢や疲れが原因だと自己判断してはいけない。
「現代人の一千万人が糖尿病、さらに一千万人が糖尿病予備軍といわれています。そして、そのうち30%近くが糖尿病網膜症です。糖尿病網膜症患者のうち1割程度の人は、視細胞が集中する黄斑という部分に病変が及ぶなどして、急激に視力が低下することがあります」
糖尿病網膜症に気づかずに糖尿病の治療だけをしていると、最悪の場合、失明に至る。
「日本では失明原因の2位といわれています。早期発見できればレーザー治療などを行うことができます」
冒頭で、視野が欠けると脳腫瘍のリスクがあると伝えたが、意外な病気が発覚することもある。
「脳にも異常がなく原因がわからなかったのですが、CTやMRIを撮って、やっと蓄膿症だと発覚したことがあります」(加藤さん)
この場合は、蓄膿症を治療すれば自然と視野の不調も元に戻る。
※女性セブン2021年11月4日号