ライフ

元航空自衛隊空将が告白 パイロットのUFO目撃談が騒ぎにならない理由

元航空自衛隊空将の佐藤守氏

元航空自衛隊空将の佐藤守氏

 人々の好奇心を刺激する「UFO」。飛行機のパイロットであれば、そういった存在に出くわした経験があるのではないだろうか──。元航空自衛隊空将の佐藤守氏は、「私自身は現役時代にUFO(空飛ぶ円盤)を見たことがありません」としながらも、先輩や同僚、部下からは何度も、不思議な物体(光体)の目撃話を聞いたという。佐藤氏が語る。

 * * *
 もう40年も前になりますが、ある後輩が夜間訓練で九州・宮崎の新田原基地から飛び立ったところ、東シナ海の上空でサッカーボール大の「火の玉」が自機(F-15)の翼端についてくるのを発見した。

 後続の2番機に確認すると確かに「見える」という。物体は蛍光灯のように青白い光を放っており、振り切ろうと旋回機動してもぴたりとついてきたそうです。時間は2~3分だったが、そのような体験は初めてだと言っていました。

 戦闘機乗りは航空力学や自然現象を徹底的に学びます。しかも毎日のように空を飛んでいるのですから、未確認飛行物体が光の反射なのかバルーンなどの人工物なのか、大抵は即座に識別、判断できるのです。

 ただ、消去法でひとつずつ除外していっても、どうしても分からないものが出てくるんですね。

 小松基地からF-4戦闘機でスクランブル発進した別のパイロットは、茶筒のような形のUFOに遭遇しています。驚いてカメラを向け写真撮影し、地上で写真装備班が現像したらばっちり写っていた。当然、上に報告したものの、特段騒ぎにはならなかったようです。現場のどこかで報告が止められたのでしょう。

 これは組織ぐるみの隠蔽云々という話ではない。「UFOを目撃しました」などと報告すれば上司の沽券にかかわるのではないか、そう忖度した人間が、情報を遮断したのではないかと考えられるのです。パイロットもそれ以上の深入りをしようとは思わないでしょう。

 こうした事例は他にも多いはず。面倒を避けたいからと正体不明の事象に目を瞑るなど、国防上あってはならない話だと思います。

【プロフィール】
佐藤守(さとう・まもる)/1939年生まれ。防衛大学卒業後、航空自衛隊に。パイロットしてF-86、F-4、F-1などに搭乗。南西航空混成団司令などを歴任。最終階級は空将。

※週刊ポスト2021年11月5日号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン