87歳が元気に
「当院のED治療の患者は30代から80代と幅広く、最高年齢は87歳でした。この方も治療の結果EDから回復しました」
そう語るのは、銀座ソラリアクリニックで修復医療を担当する古賀祥嗣医師だ。同クリニックでは、培養上清液の一種である「SGF(乳歯歯髄幹細胞培養上清液)」を用いた幹細胞治療を行なう。
「実際の治療の際は、患者のペニスの根元に小さなゴムバンドをはめて、計2ccのSGFを陰茎海綿体の左右に1回ずつ注射します。超微細の針で注射するので、痛みはほとんどありません」(古賀医師)
幹細胞治療は週1回の注射を4回、計4週間かけて行なうのが基本。保険がきかない自由診療で、同クリニックでは1回の費用は5万5000円となっている(4回の注射で計22万円)。
「男性が勃起するのは、陰茎海綿体の内皮細胞がNO(一酸化窒素)を分泌することで、血管が拡張して血流が活発化するからです。しかし老化や糖尿病、動脈硬化などによって内皮細胞の機能が衰えると、NOの分泌機能が衰え、勃起力が維持できません。一方、幹細胞治療では、傷んだ内皮細胞の機能が修復され、これによってNOの分泌や血管の拡張が進み、勃起力が回復します」(同前)
効果の持続性も、バイアグラなどのED治療薬とは一線を画す。
「治療薬は内皮細胞のeNOSと呼ばれる勃起促進物質に働きかけますが、効果は一時的な上、内皮細胞が劣化しているとeNOSはほとんど分泌されない。対する幹細胞治療は、内皮細胞の機能そのものを改善するので、ワンクール(4回の注射)の治療を終えれば1年以上は効果が期待されます。
また、ED治療薬は心臓への負担や頭痛、めまいなどが懸念されますが、幹細胞治療は副作用がほとんどない。現に当院では、副作用は一例も出ていません」(同前)
今年3月、古賀医師が日本再生医療学会で発表した論文では、幹細胞治療を受けた31歳から79歳までのED患者38人(平均年齢56歳)の症例を調査した。
「38人の患者すべてにEDの改善が見られ、なかでも軽症者は全員が完治しました。もちろんバイアグラなどの治療薬は併用せず、幹細胞治療のみで陰茎海綿体の内皮細胞が蘇ったのです」(同前)