岡山の地場産業を守れ!

 また、地場産業や地域産業の観点から考えると、学生服廃止は死活問題に直結するので、存続させるほうが良いと考えます。

 学生服は岡山地区の一大地場産業です。衣料品業界では岡山~広島県福山市をまとめて「三備地区」と総称することがありますが、これは昔の備前・備中・備後という地名から来ています。この辺りの地場産業は、作業服、学生服、ジーンズであることは知られていますが、戦前から戦後まもなくの間は、主に作業服、学生服が産業として興隆しました。

 作業服と学生服の共通項はどちらも厚手生地でできているという点で、厚手生地を縫製する設備と技術がこの地区で普及しました。

 ジーンズは戦後1950年にアメリカから古着が入ってきたのが最初で、国内でオリジナル品が作られ始めたのは1960年代前半~と後発の地場産業です。このとき、作業服・学生服の縫製工場が厚手生地を縫う技術と設備を持っていることからジーンズ縫製に転用されることとなりました。これが日本でのジーンズ製造の始まりです。

岡山県の関西高校では2018年度からデニム学生服を導入している(時事通信フォト)

岡山県の関西高校では2018年度からデニム学生服を導入している(時事通信フォト)

 現在も三備地区の地場産業はジーンズと並んで作業服、学生服が大きなウエイトを占めています。全国的に地方創生とか地方経済の活性化、地域振興が大きなテーマとなっている状況下では、学生服を安易に廃止することは三備地区の産業の一角を破壊することとなります。

 また、昨年から続くコロナ禍で雇用状況が悪化しかねない現在では、それにさらに追い討ちをかけることにもなりかねません。そして、これは兵庫県の豊岡の地場産業となっているランドセルについても同じことが言えます。

 様々な意見があることは承知していますが、学生服もランドセルも安易な廃止は避けるべきだと考えます。

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