“脳卒中家系”の医師は最新研究で予防を意識
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、自身が「脳卒中の家系」であることを意識して薬を服用している。
「高血圧、脳卒中の家系で、私自身も血圧が高いため、2年前から降圧剤のアムロジン(カルシウム拮抗薬)を飲んでいます。降圧剤を服用することで脳卒中のリスクを減らすのは予防法として確立しています。
また、スタチン系薬のリピトールは将来、脂質異常症にならなくても飲みたいと思います。まだコンセンサスを得るには至っていませんが、スタチン系薬はがんや脳卒中、心筋梗塞を予防するとの学説があるからです。
同様に、副作用が少ない糖尿病治療薬のメトグルコも、最近はアンチエイジングに効果があると注目されています。また我々の研究ではビタミンB12が不足している日本人が多い。ビタミンB12製剤のメチコバールは、60歳を過ぎたら肉類を摂る代わりの栄養補助目的で飲んでもいい」
上医師のように、新しい医学的な知見を踏まえて予防的に薬を服用するには、注意も必要だ。
「予防的に自分で選んで飲む薬は保険診療が適用されません。それでも、近年は薬の長期間の服用による予防的効果に関するエビデンスが色々と出てきているので、家系など自分の将来的なリスクを踏まえて飲めばいいでしょう。
ただし、情報は日々変わりますので、必ず主治医によく相談することが大事です」(上医師)
※週刊ポスト2021年11月12日号