本格的なブレークは、デビュー3年目に発売したミニアルバム『花様年華Pt.1』のヒット。収録曲が韓国の音楽番組で初の1位を獲得した。
「繊細でナイーブな少年の内面について描いた作品が支持され、韓国でも一躍トップスターとなりました」
デビュー当時は、その熱狂ぶりが「過激」と騒がれることもあったBTSのファン(アーミー)だが、2016年に大きな結果を出す。ビルボードチャートの「最もリツイートされたアーティスト」として、ジャスティン・ビーバーを押さえて世界1位になったのだ。
「まず、BTSのデビュー当初に強かったヒップホップ要素がアメリカでは受け入れられやすかったこと。デビュー当時からアメリカでライブやファンミーティングを行っていたため、アメリカのK-POPファンの中では人気が高かったんです。そして、アメリカ、韓国、日本の熱狂的なアーミーたちが一致団結して計画的に大量のハッシュタグのツイートを仕掛けていた。ほかのグループのファンも同じようなことはやっていますが、アーミーの団結力は飛び抜けていました」
なぜ、BTSのファンがこれほど熱心になるのか。人気の秘訣として挙げられるのが、メンバーの結束力の強さだ。
下積み時代は二段ベッドを押し込んだアパートの一室で共同生活を送り、メンバー全員で車座になって海鮮スンドゥブ鍋をつついた。ブレーク後も2019年末頃まで共同生活を続けていた。
「世界的な人気グループになってもメンバーの関係性が変わらず、いつ見てもメンバー同士でわちゃわちゃしています。アメリカのアーミーは、『いままで大勢のグループを見てきたけど、いちばん仲がよさそう』と言っていました。
K-POPグループはブレークするとソロ活動を始めることが多いのですが、BTSはグループ活動を最優先にして、商業的なソロ活動を行わない。商業でソロCDを出すと、売り上げなどでメンバー間の“序列”が見えてしまいますが、そういうことが起きないように意識しているのかもしれません」
「BTSファースト」でありながら、メンバーの個性がキラリと光ることもファンの心をとらえる。
「IQが高いのにドジなRM、グループのお父さん的なSUGAなど、それぞれのキャラクターがわかりやすく、漫画やアニメのように立っていることも海外ファンに支持されるポイントでしょう」
もちろん、ハイクオリティーなパフォーマンスは何よりの武器だ。YouTuberとしても活躍するダンサーのARATAさんが解説する。
「BTSとほかのグループの違いは『速度感』だと感じます。彼らは、すごくスピード感を出すタイプの踊り方をしていて、髪の毛をブンブン振り回しながら踊っている。だけど、全員の動きがピッタリとシンクロしています。初めてBTSを見たとき、すごくそろっているチームだなと思いました」