国内

総選挙で躍進・日本維新の会 改憲論議に火をつけて自民党分断を狙う

憲法改正にも日本維新の会は言及(時事通信フォト)

憲法改正にも日本維新の会は言及(時事通信フォト)

 総選挙で大躍進した「日本維新の会」。拠点の大阪では岸田自民党と戦った15選挙区で全勝、前回より4倍増の衆院41議席で公明党を抜き国政第3党にのし上がった。この選挙で名実ともに「維新の顔」となったのが副代表の吉村洋文・大阪府知事だ。いまや「岸田文雄・首相が最も恐れる男」と言っていい。

 その維新は総選挙後、国政でも自民党へのスタンスを大きく旋回させた。これまでの維新は重要法案の採決で与党につくことが多く、「自民党の補完勢力」とか、あるいは与党と野党の中間の「ゆ党」と揶揄されたが、いまや岸田自民と対決する姿勢を鮮明にしているからだ。

 自民党が「党是」に掲げる憲法改正を吉村氏が会見(11月9日)で「やるやる詐欺」と言い切ったのがその現われだ。

 日本維新の会は基本方針の第1に「統治機構改革」を掲げ、〈憲法を改正し、首相公選制、一院制(衆参統合)、憲法裁判所を実現する〉と謳っている。

 同じ改憲でも、9条改正(自衛隊明記)、緊急事態条項創設、参院の合区解消、教育充実の4項目の改正を掲げる自民党案とは視点が全く違う。

 だが、吉村氏が改憲論議の火をつけたことで、国会で具体的な憲法改正議論が始まれば、9条改正を強く主張する自民党のタカ派が改憲慎重派の岸田首相や公明党を突き上げ、自民党内や与党内で議論が割れることは必至だ。吉村氏の狙いもそこにある。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。

「維新は大阪の覇権を完全に握った。強固な地盤があるから、国政選挙で1回や2回、大きく議席を減らすことがあっても生き残ってきた。そして今回の総選挙では無党派の保守票を取り込むことで全国的に議席を増やしたが、現状は近畿以外では地盤はまだ弱い。

 だからこそ来年の参院選が非常に重要になる。他の野党は力がないから、維新が全国の複数区に候補を立てて3人区では公明党の議席を奪い、与野党対決の2人区でも立憲民主党の候補を上回る得票を得ることができれば、事実上、国政で自民党に対抗できるのは維新ということになる。吉村氏があえて改憲論議という“爆弾”を投げ込んで与党を分断しようとしているのは、敵は岸田自民党だと意識しているからです」

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン