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大リーグ通信 「大いなる関心」広島・鈴木誠也は今、どう評価されているのか

プロ野球広島の鈴木誠也外野手(27)が今オフ、ポスティングシステムを使った大リーグ移籍を表明、22日に全30球団へ公示された。二刀流ではないものの、攻守に走塁と三拍子そろった鈴木に、活況を呈しそうな今オフのフリーエージェント(FA)、移籍戦線でも注目が集まっているとされる。果たして、実際の評価はどうなのか。

野球専門局MLBネットワークは「日本のオールスターに5度出場し、五輪でも金メダルを取った日本代表の一員だった鈴木には、レンジャーズなど多くの球団が大いなる関心を持っている」(ジョン・ヘイマン記者)と伝えた。MLBの公式ホームページは「レンジャーズとメッツが特に鈴木を追い求めている。フロントが日本選手の獲得情報に強い」と報じた。

実際のところ、鈴木の移籍市場における位置はどのくらいなのだろうか。球界の噂話、裏話を伝える「MLBトレード・ルーマーズ」によると、鈴木は全体で20位にランクされているという。その理由として、「有能な守備力を持ったセンターとしてだけでなく、打撃面でも活躍できる可能性がある。すでにジャイアンツ、レンジャーズ、レッドソックスが接触を持ちたいと考えている」と分析。「5年間で5500万ドル(約62億8000万円)の契約を結ぶことができるだろう」と結論づける。

日本では主に右翼を守っていたが、高校時代は投手で150キロ近い速球を投げ、広島には内野手で入団した経歴を持つ。それだけに右翼にこだわらない才能があるとの見方も広がる。

野球専門サイトの中には、ドジャースの外野手で年俸2700万ドルのムーキー・ベッツ(29)と遜色ない実力の持ち主だと指摘する声も出るほどだ。

米スポーツ専門サイト「ファンサイデッド」では「マリナーズが〝日本の天才〟鈴木獲得に照準を合わせた」と報じられ、「今オフのマリナーズは補強のための資金を潤沢に用意している。鈴木は興味をそそるトップ外野手の一人なのだ」と付け加えている。シアトルの地元紙「シアトル・タイムズ」も「(マリナーズの)ディポト(GM)は多彩な才能を持つ鈴木に間違いなく関心を示している」と解説する。

カブスも「国際的スターの鈴木が市場に出てくるのを待っていた」と判断。鈴木は意外にも〝お値打ち価格〟になると予想し、「契約は8ケタ(100万ドル台)で済むだろう。ニック・カステラノス(昨季1400万ドル=9ケタ)のようなトップクラスに手を出さないのであれば、鈴木に大きな価値がある」と参戦の方向を匂わせる。

鈴木の評価がこれほどまでに高いことには、過去の成績が大きく関わっている。プロ9年目の今季は132試合に出場して打率3割1分7厘、38本塁打、88打点と活躍。選球眼もあり、走力もレベルが高い。しかも、2016年以降、6年連続で打率3割以上を残し、25本塁打以上を放っている。出塁率はここ4シーズン、4割を超え、三振も少ない。なんといってもOPS(出塁率+長打率)が1を超えたのが過去6年で4度。残り2回も悪くない数字を残している。

「東京の下町、荒川出身」とまで紹介された鈴木には、史上19人目の満票でア・リーグMVPに選出されたエンゼルスの大谷翔平と同じ27歳という若さがある。「大谷の大成功によって、若くてトップクラスの日本選手は、メジャーですぐに活躍して影響を与えることができるとみられるようになった」(米サイトCNHIニュース)

外野手のFA市場は、投手や内野手に比べるとややインパクトに欠けるが、外野の守りを強化したい球団にとって鈴木は魅力的だ。現実にどんな金額を提示されるか、興味は尽きない。

気になるのはメジャーの労使協定の改定に関して交渉が難航していること。ロックアウトにまで発展すると、移籍協議ができなくなってしまう。ポスティングシステムは30日間の期限があるが、交渉凍結となった場合は、その期間を含めない特例が適用されるという。鈴木にとっては安堵といったところだろう。(運動部 佐竹修仁)

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