なぜ日本大学の付属を目指すのか?
2018年の日本大学アメフト事件をご記憶の方も多いだろう。実はこの時も中学入試においては受験業界の予想に反して“日大付属離れ”は起きなかった。保護者たちの間では、一部の体育会系の問題であり、中高の教育には関係ないという受け止め方が多かったのである。
今回はトップの不祥事とはいえ、やはり同じような受け止め方をしている保護者が多い。しかし、こうした問題はあくまで大学の事柄としても、中学受験の段階でなぜこれほどまでに日大の付属校が選ばれるのであろうか。いくつかに分けて考えてみよう。
●付属校を選ぶ理由
中学受験においては2018年から付属校志向が一段と高まった。それは2016年から始まった「大学入学定員の厳格化」によって、有力な大規模私立大学が軒並み難化したことが背景にある。
親戚の高校生、近所の高校生が大学入試において次々と不合格になった姿を見聞きし、中学受験の保護者は他人ごとではないと感じた。大学がそれほどに難しくなっているなら中学から付属校に進ませようと考えたわけである。
●地元の中堅公立高からでは「MARCH」に進めない?
有力な私立大学が難しくなっていることは、保護者は別の面からも感じている。
「真ん中レベルの公立高校に進んだ近所の高校生が、今自分の知らない大学に通っている」「週刊誌の現役進学者数の記事を見ると、地元の公立高校からは『MARCH(明治、青山学院、立教、法政、中央)』には1桁くらいずつしか進学していない」
そうしたことを言ってくる保護者が少なくない。それなら確実に進める付属校のほうがいいという考えだ。