2億円、3億円以上のマンションは「現金買い」

 都心部の平均でも1億円以上という高額物件を多数手がける大手不動産会社の幹部によると、こんな具合だ。

「パンデミックの影響もあって、外国人買いは目立たないが、日本にも2億円、3億円以上のマンションを現金で購入する大金持ちがたくさんいます。

 代々の資産家のほか、IT関連などの新興企業の創業社長がそうです。そのほか1億円前後のマンションは、医師、弁護士などのライセンサー、パワーカップルが高額のローンを利用して買っています」

 なかでも、このところ急増しているのが、パワーカップル。いろんな定義があるが、夫婦ともに年収が高く、夫婦合わせて1000万円以上の年収が最低ラインで、なかには1400万円以上とする向きもある。

 いずれにしても、優良企業で役職についている高額所得者が多い。銀行からの信用力も高く、取得する物件は都心の優良物件だから、将来の資産価値は安定している。貸し倒れのリスクは極めて小さいと、銀行も安心して融資しているという。

パワーカップルは自己資金1割以下で買っている

 そこで別掲の図2をご覧いただきたい。これは、首都圏の新築マンションを買った人たちのライフスタイル別の住宅ローン借入額と、自己資金比率を示している。

【図2】ライフステージ別の住宅ローン借入額と自己資本比率(出典:リクルート『2019年首都圏新築マンション契約者動向調査』)

【図2】ライフステージ別の住宅ローン借入額と自己資本比率(出典:リクルート『2019年首都圏新築マンション契約者動向調査』)

 平均すると、借入額は4791万円で、自己資金割合は19.1%だから、平均6200万円ほどの物件を、2割程度の自己資金を用意して買っていることになる。

 それに対して、既婚・共働きで、世帯総年収が1000万円以上の、いわゆるパワーカップルの自己資金比率は9.9%にとどまっている。既婚でも専業主婦(主夫)世帯の自己資金比率は26.1%だから、パワーカップルの自己資金は極めて少ない。

 先の不動産会社の幹部によると、こんな事情もあるらしい。

「扶養家族のいないパワーカップルだと、税金をたくさん払っているので、高額の住宅ローンを組めば、ローン減税で多額の税金が返ってきます。ですから、手元に現金があっても、目一杯ローンを組むカップルが多いのです」

 銀行の融資担当者も、実績を挙げるために、それなりの貯蓄がある夫婦に対しては、貯蓄は手元に残することを勧め、多額の融資を組ませることが多いという話もある。

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