芸能

追悼・橋田壽賀子さん 小林綾子がいまも心にとどめる『おしん』のせりふ

生前、橋田さんは「おしんは私の分身かもしれない」と語っていた

生前、橋田さんは「おしんは私の分身かもしれない」と語っていた

 2021年は多くの著名人が天国に旅立った。人々に勇気や笑顔、そして、幸せを届けた彼らは、どんな言葉を残したのか。在りし日をよく知る人に、思い出に残る秘話を語ってもらった。

 NHK連続テレビ小説『おしん』(1983年)をはじめ、『渡る世間は鬼ばかり』シリーズ(以下『渡鬼』/TBS系)など、故・橋田壽賀子さん(享年95)はドラマを通じて、女性の生き方、家族の在り方を生涯描き続けた。

 橋田さんの作品に多く出演した小林綾子(49才)が思い出を振り返る。

「5月10日、『橋田賞』授賞式後に開かれる、橋田先生の誕生日会に、私は毎年お招きいただきました。

『おしん』に出ていた頃、現場に母が付き添っていたことから、橋田先生はいつも母のことを気にかけてくださり、お誕生日会でも、『お母さんはお元気?』と必ずお声をかけてくださって。いつもお優しい心遣いをなさるかたでしたね」(小林・以下同)

大学進学祝いに、橋田さんからプレゼントされた通学バッグを、いまも大切にしているという

大学進学祝いに、橋田さんからプレゼントされた通学バッグを、いまも大切にしているという

 橋田さんからは出演したドラマを通じて多くのことを学んだ。

「『おしん』も『渡鬼』も、根底には橋田先生が経験された戦争体験があると思います。先生はご自身が伝えたいことはせりふを通じて書かれていましたが、まさに、『おしん』がそうでした。

 私がいまもなお、心にとどめているせりふがあります。

 劇中でおしんと出会う脱走兵の俊作あんちゃん(中村雅俊・70才)が、観音様を彫りながら『人を恨んだり、傷つけたりしてはいけない。そういうことをすれば必ず自分に返ってくる。相手の気持ちになってみる、思い当たることがあれば自分が直す。相手を責めないで許してやることが大事。人を許せるようになってほしいんだ。人を愛することができれば、人から愛される人間になれる』というせりふです。

 大人になって振り返ってみても、なんて深い言葉だろうと、いつも思い出しては心にしみ、自分に言い聞かせています。

 また、『渡鬼』では、『人間はけんかをして成長する』ともおっしゃっていました。ドラマでは登場人物同士がよく衝突していましたが、ぶつかることでその先に、人としての成長があるのだと。それを胸に刻んで生きていくだけで人生は豊かになると感じます」

【プロフィール】
小林綾子/女優。ドラマ、舞台を中心に活動し、現在はNHK BSプレミアムドラマ『生きて、ふたたび 保護司・深谷善輔』に出演中。

※女性セブン2022年1月6・13日号

橋田壽賀子さん 脚本家 4月4日死去 享年95(撮影/太田真三)

橋田壽賀子さん 脚本家 4月4日死去 享年95(2014年11月、撮影/大田真三)

自宅でバランスボールを使って運動する橋田さん(2014年11月)

自宅でバランスボールを使って運動する橋田さん(2014年11月、撮影/大田真三)

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン