芸能

『最愛』を牽引した松下洸平 「切なく耐える男」をやらせたら随一

番組公式HPより

番組公式HPより

 鮮烈な印象を残すのは常に主役であるとは限らない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 高い満足度を獲得している秋ドラマ『最愛』(TBS系 金曜午後10時)もいよいよ最終回。正直、ドラマの前半は展開が複雑で話についていくのがやっとでした。時空間が飛びまくり過去と現在が交錯し、そのわりに意図的なのか説明が少ない。記憶喪失という飛び道具に複数の事件も絡み、「犯人は誰か」という謎解きだけでなく企業スキャンダルに週刊誌のスクープと話題はてんこ盛り。

 それでもドラマを追いかけ続けることができたのは、ある人の牽引力のおかげです。宮崎大輝を演じている松下洸平さんの存在は大きかった。混沌とした物語の中で唯一、大ちゃんはピンと張ったまっすぐな1本の糸のように視聴者を導いてくれました。

 製薬会社・真田ウェルネス代表取締役、真田梨央(吉高由里子)と、若い時心を通わせあった宮崎大輝。しかし15年ぶりに再会した時は、かたや連続殺人事件の重要参考人、かたや警視庁刑事部捜査一課の刑事。二人は「追われる者と追う者」という悲劇的な関係に。

 心を鬼にして事件を追求しなくてはならない大輝。しかし梨央に会えば会うほどさらに深く惹かれていく。切なく思い詰めた大輝の表情に、宇多田ヒカルの主題歌『君に夢中』のメロディが被さる。あまりにもピタリとはまっている松下洸平という役者。その表情に、思わず見とれて心を振るわせた視聴者も多かったはずです。

 何がそうさせているのかといえば、やはり良い意味での「普通感」でしょう。ふと見ればそこに歩いていそうな一重まぶたのしょう油顔。白いワイシャツ姿、飛騨弁で語る木訥さ。純なA型風生真面目さと漂う孤独感。過去に恋した女に今また惹かれて自分が制御できなくなる。過去と現在の両方を追いかける大輝のとまどい、そして耐える姿に男の色気も漂う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン