スポーツ

蛯名正義氏が回顧「何もしなくても圧勝だった」フジキセキのデビュー戦

フジキセキのデビュー戦は衝撃だったという

フジキセキのデビュー戦は衝撃だったという

 1987年の騎手デビューから34年間で通算2541勝を記録し、国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートする。蛯名氏による週刊ポスト連載『エビジョー厩舎』から、今回はフジキセキなどサンデーサイレンス産の馬に騎乗した思い出についてお届けする。

 * * *
 社台グループがアメリカでGIを6勝したサンデーサイレンス(以下SS)を16億5000万円で購入、日本で種牡馬になり、多くの名馬を世に送り出したことで、競馬の世界地図は大きく塗り替えられました。

 SSの子供たちは1994年6月にデビュー。7月までにデビューした8頭のうち4頭が勝ち上がり、さらに2頭が7月末に行なわれた最初の重賞で1、2着。8月以降にデビューした馬も次々に勝っていきました。

 僕がSS産駒で初めてレースに出たのは8月20日。種牡馬として多くの活躍馬を出したフジキセキのデビュー戦です。

 関西の渡辺栄厩舎でしたが、この夏は新潟に滞在していたので依頼されました。渡辺先生からは「勝つとか負けるとかじゃなくて、1200mのレースだけどマイルの感じの競馬をしてきてくれ。最後流してきていいから」と。負けるなんて思っていない、ゆっくり行って最後スーッと伸ばせばそれで勝つから、という感じでした。

 フジキセキはゲートが速くなくて、トコトコトコって感じで出たのに、スーッと前に追いついちゃった。車でいえばアクセルを踏まなくてもいい、僕が何もしなくてもスピードが出ちゃう。それでいて一生懸命走ってる感じではなく、歩いているかのようなんです。2着馬に8馬身差の圧勝でした。衝撃というか気持ちがいいというか……ああ、こういう馬がクラシックを勝つんだろうなと思いました。

 フジキセキはこの後、オープンと暮れのGI朝日杯、翌年皐月賞トライアルの弥生賞と4連勝したところで屈腱炎を発症して引退。しかしSS産駒は皐月賞でジェニュイン、オークスでダンスパートナー、ダービーでタヤスツヨシが勝って、いきなり種牡馬リーディング1位となり、その座を亡くなった5年後の2007年まで譲りませんでした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン