外野手出身でも名監督に
江本:昨シーズンは12球団の監督で外野手は栗山(英樹)だけだった。日本ハムは3年連続5位だけど、栗山は日本一にもなっている。新庄は外野手出身だがどうだろうね。
達川:ノムさんは「キャッチャーは名監督になる」と言ったが、そのキャッチャー出身監督で評判を落としたのが古田(敦也)、谷繁(元信)、そして達川光男(笑)。ノムさんもみんな称えているが、ヤクルトの9年で優勝4回は立派だけど、阪神で3年連続最下位です。
江本:ただし成績と人気は別物。ノムさん時代の阪神は日本一となった1985年以来の観客動員だった。日本ハムも成績にかかわらず満員の可能性はある。
達川:新庄は「支配下全員にチャンスをやる」と言ったからね。チーム全体が一生懸命やると思う。
江本:新庄のように「最下位でもいい」という考え方が阪神の矢野監督にもあれば、佐藤輝明を育てられたと思う。佐藤を「掛布(雅之)、岡田(彰布)に育てる」と明言し、最下位になったら「すみません」と謝ればいい。矢野にそれぐらいの根性があればね……。
中畑:オリックスのラオウ(杉本裕太郎)は、中嶋(聡・監督)が「心中します」と4番に据えたんだからね。最後は戦力だが、選手と心中する信念が監督にあるかどうか。それがないと、ダメなんだろうね。
(第1回、第2回はこちら)
【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海へ移籍しエースとして活躍。阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしてもマルチに活躍。
中畑清(なかはた・きよし)
/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNA監督を務めた。
達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一に。
※週刊ポスト2022年1月14・21日号