「個人的にはアルバイトの写真や本名なんて必要ないと思うのですが、やはり信用という点でやめられないみたいです」
ここでも「信用」という話が出たが、写真と本名の名札掲示と信用は、コンビニスタッフの信用を担保するものなのか。
「いや関係ないでしょう。制服を着てレジに入っていれば店員ですし、普通は名前なんか気にして買いませんよ。コンビニですからね、ちょっと買って出るだけなわけで。むしろ(コンビニ店員の)名前を憶える、知りたがるお客さんって、申し訳ない言い方かもしれませんが特殊な例だと思います」
スマホで撮影 『憶えてろよ』と言われた
普段からコンビニ店員の名前をいちいち確認して、まして憶える客なんて相当に「特殊な例」であり「特殊な客」である。しかしこの名前、本名が長らく他人に悪用され、よからぬ客にだけ好き勝手に使われている。複数の元コンビニの女性アルバイトに話を聞いた。以下の証言はそれぞれ別の証言である。
「珍しい名前なのでネットで検索されました。中高と本格的にスポーツをしていたので当時の記録が出るんです。『凄いね○○ちゃん、○○(競技名)で○○(大会名)出るなんて』と会話のきっかけにされました」
その中年男性に執拗につきまとわれ、バイトは辞めたという。10代の時の競技写真がネットに掲示されていたこと、ユニフォームの際どさ云々の話をされてゾッとしたという。
「私は本名をネットに書き込まれました。誰がやったのかもわからないし本当に怖いです」
地域に特化した日本最大級、を謳う匿名掲示板が晒しの場になっているという。例のごとく管理はずさん、弁護士を立てて開示請求も金銭的には割に合わない。本名を晒され、場合によってはアーカイブ化されて永遠に残る。名札で言えば一昔前は小学生も堂々と住所や電話番号まで書いてある名札で登下校していた。地方ではいまだに残っているらしく、佐賀県では2021年、小学生女児の登下校写真を名札入りで「同好」の集う匿名サイトに投稿し続けていた男が逮捕された。子供を守るために子供が晒されるのでは本末転倒、店員もまたしかりである。