医学部合格者数が全国1位の学校であれば、Aが挫折するような厳しい学習指導があったと想像しがちだが、Aの知人でもある在校生に聞けば想像の真逆だという。
「自由を重んじる校風で、生徒側から相談しない限りは、教師側から志望校や勉強内容、生活態度にいたるまで干渉されることはほとんどありません。一般的に想像する“ガリ勉”みたいな人はむしろ少なく、遊びも勉強も本気で、という感じですね。教師もそんな感じで、体育祭で優秀賞を取ったあるクラスは、先生も一緒になって教室にピザやコーラを大量に注文してパーティーを開いたりしていました。厳しく勉強を強制する空気はないですね」
私立の中高一貫校のX高校において、Aは公立中学を経て高校から入ってきており、同様のルートは全体生徒の1割程度。これらの生徒はまとめて“外来生”と呼ばれる。
「外来生は確かに最初は学校の文化にも勉強の速度にもなじみづらい部分はあると思います」(Aの知人)
X高校の教頭がAの性格を語る。
「彼はちょっと勉強に目が行きすぎちゃっている。何でも真面目に取り組む性格でして。目立たない生徒なんですよ、とにかく。素行が悪かったり何か秀でたものがあれば、担任会で情報共有するんですね、ポジティブな面もネガティブな面も。しかし彼の場合、普通に生活をして普通に勉強をしている平均的な生徒だっただけに注視しておらず、われわれ教員は一様に驚いています」
自由を尊重する校風ゆえに生徒の心理状況まで細やかに把握できなかった面があるのかもしれない。先のAの知人はAについて、
「ふざけまくっているやつが自分より頭がいいという環境が許せなかったのかなって思いました。X高は別にガリ勉がいちばん頭がいいわけじゃない。勉強だけが強みみたいな外来生にとっては、プライドが傷つくかもしれないですね。しかも3年生に上がるときに成績別のクラス編成があるのですが、そのクラス分けにとって大事な実力考査を1月末に控えていた。そのプレッシャーに負けたのかもしれません」
※女性セブン2022年2月3日号