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最新の牛乳研究 「がんリスク」「脳梗塞リスク」と関係性はあるのか

最新の牛乳研究により新たな指摘も(イメージ)

最新の牛乳研究により新たな指摘も(イメージ)

 昨年末には、大量廃棄回避のための消費拡大キャンペーンが行われた牛乳。「完全栄養食」と位置付けられることがある一方、逆に「牛乳を飲むと不健康になる」との説もある。こういった論争について、小田原短期大学食物栄養学科の平井千里准教授はこう語る。

「牛乳の栄養価の高さを疑う余地はありません。カルシウムやタンパク質にミネラルといった栄養素を豊富に含みます。ただし、飲み過ぎるとカロリー過多やカルシウムの過剰摂取で結石ができやすいといった不具合が起こることも考えられます。完全栄養食とは言えないが、適量を摂る分には体に悪いものではありません」

 近年は、最新の牛乳研究により新たな指摘も増えてきた。その一つが「がんリスク」だ。国立がん研究センターは、全国の約4万3000人を乳製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトの摂取量によって4つのグループに分類して約10年間調査。その結果、摂取量が多くなるほど前立腺がんのリスクが高まり、最も摂取量が多いグループは、最も少ないグループの約1.6倍のリスクがあると発表した。そうした研究結果について、北品川藤クリニック院長の石原藤樹医師が解説する。

「牛乳の摂り過ぎが前立腺がんのリスクに関係することは、これまでにも海外の論文で報告されてきました。海外の牛乳などには、成長促進作用のあるホルモン『IGF-1』が含まれているものもあり、それが前立腺がんのリスクを増す一因とされます。成長因子には老化を進めたり、がん細胞を成長させるリスクもあると考えられています」

 牛乳に含まれる「脂質」に注目するのは、秋津医院院長の秋津壽男医師だ。

「普段から脂質が足りない人が牛乳を飲んで補う分には良いのですが、脂質過多の人が牛乳などの乳製品を摂り過ぎると、前立腺がんや大腸がんリスクを高めるとされます。いずれにせよ、牛乳やヨーグルト、チーズなどの過剰摂取はよくない。食事はバランスが大切だということです」

脳梗塞リスク47%低下!?

 一方、2021年に岩手医科大学などの研究グループは、「牛乳が血圧を抑え、脳梗塞のリスクを下げる」という調査を発表。10年間の調査により、岩手県北部の住民約1万4000人がコップ1杯200ミリリットルの牛乳を飲む頻度と脳梗塞の発症の関係を調べた。

 対象者を「週2杯未満」「週2杯以上7杯未満」「週7杯以上12杯未満」「週12杯以上」の4グループに分類すると、女性の脳梗塞発症リスクは、「週2杯未満」のグループに比べて、「週7杯以上12杯未満」のグループで47%低下した。研究を行なった岩手医科大学特任教授の丹野高三医師が語る。

「脳梗塞のリスクが下がった原因として、牛乳を飲む習慣のある人は健康的な生活や食習慣を送っている可能性が挙げられます。実際に1日1杯以上の牛乳を飲んでいる人は喫煙や飲酒をするケースが少なく、習慣的な運動をして栄養にも気を配る傾向がありました。

 それとともに、牛乳に含まれるカリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルが血圧を下げ、脳梗塞の発症リスクを下げた可能性もあります。こちらも実際に牛乳をよく飲む人は血圧が低い傾向が見られました。一方で男性には有意差が見られませんでした。その理由は、喫煙や飲酒をする人が多かったからだと考えられます」

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