(写真/Getty Images)

頭痛や集中力低下、うつなどの症状も(写真/Getty Images)

 口呼吸は自律神経失調症やうつ病、アルツハイマー病などの誘因にもなり、歯周病は糖尿病や心筋梗塞などのリスクを上げる。さらに、口呼吸がもたらす「負の連鎖」にも注意が必要だ。顔が見えないからと油断していると、思わぬ老化が進むこともある。歯科医師の四方一弥さんが説明する。

「長時間マスクをしていると口まわりが他人から見えなくなり、表情に気を使わなくなります。すると顔を動かす表情筋の一種である口輪筋が衰えて、皮膚がたるんで締まりのない“老け顔”になる恐れがあります」

 表情筋が衰えると病気のリスクも増す。みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太さんが指摘する。

「マスクをしているとしゃべる回数が減ったり表情を気にしなくなることで、表情筋を使わなくなります。すると唾液の量が減って口腔環境が悪化しやすくなります」

 口腔環境が悪化すると虫歯や歯周病、糖尿病などのリスクが増すので要注意。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんは、「マスク皮膚炎」を心配する。

「マスクで最も起こりやすい疾患が皮膚炎です。ニキビや肌の乾燥が治まらず、痛みや赤み、かゆみが出たら皮膚科を受診すること」

 口と鼻を覆うマスクが、目に影響するという研究もある。カナダのウォータールー大学の調査では、1日3時間以上マスクを着用する被験者は、ドライアイを発症するリスクが高かった。マスクの上部から漏れた呼気が目に向かい、眼球を乾燥させるメカニズムだ。ドライアイが進行すると、視力低下や角膜上皮剥離を発症する恐れがあるので気をつけたい。たかがマスクと高をくくっていると、思わぬ結末になるかもしれない。

※女性セブン2022年2月10日号

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