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徳重聡のDV夫“怪演”が注目 「怖い夫」が際立つ背景に好感度との落差

怪演が話題の徳重聡

怪演が話題の徳重聡

 波瑠(30才)主演で毎回、スリリングな展開が話題となっているラブサスペンスドラマ『愛しい嘘~優しい闇』。注目を集めるのは、徳重聡(43才)の怪演ぶりだ。コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 二人目の死者が出てしまった『愛しい嘘~優しい闇』。

 なかなか芽が出ない漫画家の望緒(波瑠)は、14年ぶりの同窓会で中学時代に仲が良かった六人組が集合。憧れの雨宮(林遣都)と心が通い、喜んだ矢先、仲間の奈々江(新川優愛)が故郷・山梨の渓谷で転落死する。専業主婦の優美(黒川智花)、弁護士の怜子(本仮屋ユイカ)、ワイナリーを営む稜(溝端淳平)らは他殺を疑う。

 重苦しい空気の中、強烈な存在感を見せたのが、優美の夫で山梨県警の刑事部長の野瀬(徳重聡)。名家の跡取りで、メガネの奥の目をやたらギラギラさせながら、優美を見張る野瀬は、彼女の首を押さえつけ、「あの日のことはしゃべらなかったろうね」と問いただす。

 とんでもないDV夫だったのである。偶然、その場面を見た望緒が優美の車の中で、そのことを確認していると、突然、窓ガラスに両手をパーにした野瀬がぺったり張り付いてのぞいていた。ひーっ、カエル男!! 家に帰れば、当然のように優美のスマホをとりあげ、「ばい菌はしっかり消毒しないとね…」と寸胴鍋で熱湯を沸かしてフォークなどを投入。キッチンではなく、なぜカセットコンロで、手には白手袋…。意味不明なこの感じから目が離せない。

 野瀬を見ていて思い出すのは、ドラマを盛り上げてきた「怖い夫」たちである。ここ数年、二枚目で人気を得た俳優が、「怖い夫」になる例が目立つ。2016年の『ナオミとカナコ』では、佐藤隆太がカナコ(内田有紀)を苦しめ、親友のナオミ(広末涼子)に「いっそ二人で殺そうか、あんたの旦那」なんてことを言われる。

2017年の『あなたのことはそれほど』では、妻(波瑠)の不倫を知った夫(東出昌大)が豹変した。印象的だったのは、中村倫也。2018年の『ホリデイラブ』で、浮気した妻(松本まりか)を冷たい目で見つめて「バカ女」「ズタボロになって思い知れ」などと罵声を浴びせる。これまた「怖い夫」だよと思ったら、妻のほうがもっと怖くなっていた…。

 いずれにしても、彼らはそれまでの好感度を打ち捨てての怪演。私はこれまで、多くの俳優から「悪役や憎まれ役は、振り切った芝居ができて面白い」「演技の幅が広がる」と聞いてきた。佐藤隆太もDV夫とうりふたつの男の二役で、その年のコンフィデンス・アワード ドラマ賞助演男優賞を受賞している。言うならば「さよなら、好感度。こんにちは、演技派の道」なのだ。

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