国内

あさま山荘事件50年 元連合赤軍メンバー「革命が必要の気持ちに変わりない」

1972年に起きた「あさま山荘事件」(時事通信フォト)

1972年に起きた「あさま山荘事件」、元メンバーに取材(時事通信フォト)

 山荘に激突する巨大な鉄球、犯人グループによる銃撃の応戦──日本中がテレビにかじり付いた「あさま山荘事件」から50年が経った。あの時、立てこもった犯人たちは何を求め、誰と戦っていたのか。元連合赤軍中枢メンバーの植垣康博氏(73才)が、半世紀の節目に事件を振り返る。(文中敬称略)。【全4回の第4回。第1回 第2回 第3回を読む】

 * * *
 裁判が続いていた1977年には赤軍派から中東へと飛び出した日本赤軍がバングラデシュのダッカでハイジャック事件を起こし、人質と引き換えに植垣を釈放するよう求めた。だが、植垣はこれを拒否している。

「拘置所に法務省のお偉いさんがやってきて、『超法規的措置で釈放されることになったが、どうするか』と聞いてきたが、『逃げるわけにいかない』と思ったんだよな。誰かが日本に残って事件を総括しなくては、と」

 一審判決が出たのは事件から10年目にあたる1982年。自殺した森恒夫に代わり永田洋子が主犯格と位置づけられ、「感情的、攻撃的な性格とともに強い猜疑心、嫉妬心を有し、これに女性特有の執拗さ、底意地の悪さ、冷酷な加虐趣味が加わり」として永田の個人的資質が事件に大きく起因したとした。だが、植垣はこれに納得ができない。

「リーダーの資質の問題とするだけでは、この事件の本質を明らかにすることはできない。我々兵士の側も積極的に支えた面もあった。事件の原因には革命運動や党派というものが持つ性格があったのではないか」

 最高裁まで争うが植垣らの主張は認められることなく、懲役20年が確定した植垣は甲府刑務所で服役した。服役中は一着数十万円もするミンクのコートを製作する作業に黙々と取り組んだ。小さな窓からは北岳や間ノ岳など南アルプスの山々の美しい稜線が見渡せた。「自分の人生は山と切り離せない」としみじみ思ったという。

 事件から26年後の1998年に出所した。刑務所に記者が押しかけ、それを撒こうとタクシーで甲府駅に向かったが、切符の買い方が分からない。追いかけてきた記者に教えてもらい買うことができた。

 運転免許を取った時は社会から生きていても良いと認められたような気がした。初めて口座を開設しに銀行に行った時は、「動くな。静かにしろ」と思わず口走ってしまいそうで落ち着かなかったという。塀の中と外との認識の違いに押し潰されそうになると、酒で気を紛らわせた。その後、静岡でスナックを始め、2005年には店の従業員だった33歳下の中国人留学生と結婚。息子をもうけた。

関連記事

トピックス

NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
被害者の村上隆一さんの自宅。死因は失血死だった
《売春させ、売り上げが落ちると制裁》宮城・柴田町男性殺害 被害者の長男の妻を頂点とした“売春・美人局グループ”の壮絶手口
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
突然の「非常戒厳」は、国際社会にも衝撃を与えた
韓国・尹錫悦大統領の戒厳令は妻を守るためだったのか「占い師の囁きで大統領府移転を指示」「株価操作」「高級バッグ授受」…噴出する数々の疑惑
女性セブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン