覚えておきたいペットの救命法(写真/GettyImages)
もしペットが、突然意識を失い、目の前で倒れたら──。あなたは何をしてあげられるだろうか。飼い主なら知っておくべき、ペットの救命救急法を紹介する。
心臓マッサージ/胸が3分の1程度沈むぐらいの力加減で押す
心臓マッサージを行う際は、飼い主の利き手と反対側(右利きなら左)にペットの頭がくるようにし、ペットの背中側からアプローチする。日本国際動物救命救急協会代表理事のサニーカミヤさんが解説する。
「口腔内に異物がないか確認し、気道を確保したら、ペットの背中(短頭犬は横腹)に両膝を付けて、つま先を立てて座ります。肘は伸ばし、利き手の手のひらを胸郭のいちばん高い部分に置き、猫・小型犬は片手で、中・大型犬は両手で垂直方向に押します。超小型犬・子猫は胸郭を指で揉むようにします。鼻の短い短頭犬は仰向けにし、胸のいちばん膨らんでいる部分を押します。押す深さは、元の胸の高さの3分の1程度沈むぐらい。1分間に100回のペースで押します」
猫・小型犬
中・大型犬
短頭犬
人工呼吸/肺の大きさに応じた量を吹き込む
心臓マッサージを30回行ったら、人工呼吸を2回行う。これを獣医師に引き渡すまで繰り返す。
「ペットの舌を布などでつまんで、斜め下に引き出します。両手で口を軽く閉じ、ペットの鼻を口で覆って、気道を確保し、胸を見ながら、肺の容量に応じた呼気をゆっくりと1秒かけて、2回吹き込みます。呼気を吹き込むとき、ペットの首を立てると気道が狭くなるので、息を吹き込む人が床と平行になるくらい低い姿勢で行うのがポイント」(サニーカミヤさん・以下同)
肺の大きさよりも多く吹き込みすぎないよう注意。
「吹き込む量が適量かどうかは、胸の膨らみで判断するしかありません。普段からペットが寝ているときの胸部を観察し、どの程度膨らむのか、呼吸のペースはどれくらいか把握しておきましょう」
舌を引き出す
呼気を吹き込む
吹き込みすぎに注意
救命処置開始と同時に病院に連絡を
名前を呼んでも反応しないなど、明らかにいつもと様子が違ったら、救命処置を行うと同時に、すぐにかかりつけの動物病院へ電話しよう。あくまで飼い主ができる処置は、獣医師にバトンタッチするまでの“つなぎ”である。
「動物病院には、“のどにものを詰まらせた”“呼吸をしていない”などの症状と、いまから連れていく旨を伝えます。そうすると病院側も、受け入れの準備ができるので、スムーズに引き継げます」
万が一に備え、かかりつけの動物病院のほか、別の動物病院や夜間対応の動物病院など、最低3か所以上をリストアップしておくといい。家族で共有しておくと安心だ。
取材・文/鳥居優美 イラスト/尾代ゆう子
※女性セブン2022年3月17日号