出来上がった井上氏の脚本を、番組プロデューサーの白倉氏はこう絶賛する。
「大正解でした。全てが本当にすごいなと思っています。女の子目線で物語に入っていくという発想もこちらからは絶対に出てこない。それと今作は変身前と変身後のギャップが大きくて、お互いに変身後しか知らないというヒーロー同士の関係も含まれています。メインキャラクターはたった5人しかいませんが、こんなに複雑な人間関係を作れるのかというぐらい作り込まれていて、それはこれまでのスーパー戦隊シリーズにはなかったやり方だと思います。
複雑な人間関係の機微を描くというのは非常に手間がかかる。緻密な計算が必要です。でも出来上がるととても面白くなるんですね。井上先生はイージーなやり方で片づけてしまわずに、そのあたりをしっかりと計算して作っていらっしゃる。やっぱり世代論には回収できない、井上先生の脚本家としてのガッツと才能が発揮された作品になったなと思います」
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は、今後のスーパー戦隊シリーズのあり方を根底から変えてしまうのかもしれない。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)