すでに各国から2万人以上が義勇兵として集まっているという。中には彼が言うように、不当な目的のために応募した者も紛れているかもしれない。また彼は、「銃に関する意識や感覚が、日本と海外ではまるで違う。彼らは銃を扱うことに慣れている」と話す。
「一般の日本人が銃に触れるのは、せいぜい海外の旅行先などで射撃場に行った時くらい。ヤクザでも今の若い奴は海外の射撃場で撃って練習した気になっている。でも、その射撃場でいくら練習しても実際には当たらない。火薬の量が本物の3分の1程度しか入っていないからだ。本物の場合は、火薬の量が多いから、撃った時の衝撃が大きい。反動がすごくて、撃った瞬間腕が跳ね上がってまっすぐに撃てない。だから至近距離でなければ当たらない。
以前ロシアとウクライナに行った時、森や広大な敷地の中に射撃場があって、本物の量の火薬で撃った。拳銃だけでなく他の銃器も色々と置いてあったが、内戦が絶えなかったから、本物を手に実地訓練する人がいたのだろう。日本と違ってそういう環境で練習している奴は、銃の扱いがまるで違う」
チェチェン紛争時、仕事でロシアに行った暴力団関係者は、迎えに来た車の後部座席に乗り込むと、足下にマシンガンが置いてあって驚いたと証言する。彼らにとって銃は日本人が考えるよりも身近な物なのだ。
かつては高架下や工場が練習場だった
日本では、銃と聞けば一番に暴力団を想像するのではないだろうか。暴力団の組長や幹部が、対抗する暴力団員に拳銃で撃たれたという事件は後を絶たない。だが、今の日本では、暴力団員でも銃を練習する機会が少なく、なかなか腕を磨けないという。
「今は練習どころか試し撃ちするのも難しいから、組の人間でも練習ができず撃つのが下手で当たらない。弾が当たったとしても、すぐ目の前にいたり、頭を抱え込んでいたり、至近距離から相手を撃った場合が多い。数メートル離れてしまえば、もう当たらない。
組事務所などへの発砲はドアやシャッターに向かって撃つだけだから、大した腕はいらない。それに撃ち込みに行く時は、組事務所に誰もいないことが前提だ。ただ、万が一人がいた時はやるしかないがね」