2022年3月末、モスクワ近郊での外貨両替。米ドルとユーロの購入価格は「0」。市民は外貨を売ることはできても買えない(EPA=時事)

2022年3月末、モスクワ近郊での外貨両替。米ドルとユーロの購入価格は「0」。市民は外貨を売ることはできても買えない(EPA=時事)

中国はロシア経済も飲み込もうとしている

 中国は金も物も出す。もちろん紐つきだが、出さない国よりありがたいのは苦しい国にとっては当然だ。海底火山の噴火に見舞われたトンガにも金だけでなく1000万ドル以上の重機を送った。そんな中国が気に入らないなら日本がそれ以上に出せばいいだけの話だ。

「中国はロシアとウクライナの二面外交を展開してきました。両国が戦争してもそれって、ほんとしたたかだと思います」

 制裁による経済危機とルーブルの排除による混乱を来したロシアも、侵略されて物資不足のウクライナにも恩を売る形になる。中国は当事者ではないのでどちらかに肩入れする必要もない。アメリカが中国を一方的に非難しきれないのはこの辺も原因か。

「中国はロシア経済も飲み込もうとしています。勝とうが負けようがロシアの経済的な敗北は決定しているようなものですから、のらりくらりと両天秤で待てばいい。すべて経済力のなせる技です」

 ましてや中国は小麦の自給率は98.5%(2020年)、その上で貪欲に買い占めている。統計が中国のいいように仕向けられているとしても、10%程度しかない日本よりは確実に自給力はある。それでも買い占める。

「自給率と言うと人間が食べる分で考えがちですが、家畜の飼料としても重要です。『ふすま』って聞き慣れない人も多いかと思いますが家畜の配合飼料に使われます。小麦粉を作るときに取り除く部分で小麦の20%ほどがこの『ふすま』になります。保存があまり効かないので絶えず輸入、生産する必要があります。もちろん小麦粉そのものも10%くらいは飼料に使われます」

 小麦粉を作るときに除かれる外皮が『ふすま』だが畜産には欠かせない飼料である。日本は飼料穀物のほとんどを輸入に頼っている。

「みなさんが口にする小麦製品のほとんどは輸入です」

 小麦はもちろん大麦、トウモロコシ、高梁(こうりゃん)などのほとんどが海外から輸入されている。日本の飼料自給率は25%(!)、食料自給率の67%(生産額ベース・2020年度)どころかカロリーベースの37%(同)すら大幅に下回る。肝心の餌がそれなので「牛肉が不足しても国産の牛をもっと育てて食えばいいじゃないか」とはいかないのである。

「国産小麦もあるにはありますが、地場のうどんとか高級料理とか、限られた場面でしか使われませんね」

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